「美女と野獣・・・」-3
幸いRは恵まれた家庭で育った為に、人一倍可愛く、
そして人一倍元気で、人一倍愛嬌のある子供に育った。
幼稚園では既に男の子達のマドンナ的な存在と化し、
何処へ行くにもRの周りには多くの男の子達が群がった。
担任の先生ですらえこひいきをしてるつもりはさらさら無いんだろうが、
どうしてもRがいる所に大勢の子供が群がっている為に、
常にRを中心として見張っているのだった。
面白くないのは他の女子の親である。
あまりの自分の子供との出来の違いにイラついている訳ではない事を心から願うが、
自分の娘には男子の友達が自然と少なくなり、
楽しいはずの幼稚園に行きたがらない子供の親達が頻繁に苦情を言いに
先生を訪れる始末となった。
時は順調に流れ、Rは普通の市立の小学校へと入学した。
そのあまりの美貌から私立の小学校への入学を周りの人たちから勧められはしたものの、
Rの家庭は決して貧乏ではなかったが裕福でもなかった。
Rの両親は、私立に行かせればまともに育つ、などといった馬鹿げた発想の持ち主ではなく、
普通に元気に、友達をいっぱい作って、Rが楽しんでくれる事が一番、という考えだった為に、
何の躊躇も無く市立へと進学させたのだった。
入学早々、ここでもRは際立って目立つ存在となる。
1学年にクラスは2つしか無いが、Rと同じクラスになった生徒達は皆
Rのその愛嬌を振りまくけた外れの可愛らしさと、素直で明るい性格の良さに夢中になり、
別クラスの生徒達もまた、羨ましげに度々Rのクラスを覗きに訪れた。
お人形みたい。
たまに可愛い子供がこう言われる。
パッチリと開いた大きな目に、ビューラーを使ったかの如くクリッとカールした長いまつ毛。
それでいてにこやかに笑うその微笑ましく、かつ愛くるしい笑顔。
まさしくお人形みたいな顔だ。
がしかし、Rは何故かそうは呼ばれなかった。
執拗に愛嬌を振りまき、人間味溢れんばかりに活発に行動し、誰とでも仲良く接する事が出来る彼女には、
人形の様などこか冷淡で、どこか非活動的なソレとは似ても似つかなかったのだろう。
そもそも人形以上のステータスをRは持っていたのかもしれない。