「美女と野獣・・・」-26
その9
Rが転校してきてからどれ位が経っただろう。
2ヶ月位といったトコだが、相変わらずクラスに馴染めず、
仲の良い友達が出来ていないせいか、
まだ越してきたばっかの様な気さえする。
その中でオレは席が前後という関係なだけで
一番Rと親しんでいる存在だった。
親しんでいる、という言葉は正直言うと間違いで、
決して仲良く笑って会話する、というのではなく
一番気楽に話しかけられる存在というだけの事である。
そんなある日、オレの友人が茶化してきた。
「お前さー、よくRと話せんよなー。タイプ、アレ系だったっけか?ハッハッハァ!」
「別にそんなんじゃねーし。ま、お前とは話さんわな。Rは。」
「は?なんだよソレ。もしや既にデキちゃってたり?!」
「ちげーっつーの!」
「あぁ、なんだ、まだ片思いかぁ。」
「ちげーっつーの!!」
「ダッハッハ!まぁそう怒んなって。」
「・・・・・」
「ところでアイツ相当嫌われてんの、知ってる?」
「まぁああいう性格だからねぇ。しょーがないっしょ。」
「ちげーよ!結構みんな気ィ使って話しかけてたらしいけど完全シカトらしいじゃんよ。」
「んな訳無ぇよ。誰も話しかけてねーじゃん。オレとは話してるし。」
「お前の見てないトコでそうなんだろ?女子達は完全にキレてんぜ。」
「そんなの知らねーよ!一部の女子だけだろぉ?オレもお前にキレそうだぜ。なぁんてハッハッハ!」
「・・・。Rってあのド地味な風貌でスタイルいいだろう。」
「・・・だから?」
「ヤツラはそれが気に入らないらしい。」
「ダッハッハァ!んな事知るかって!スタイル悪いそいつらがバカだ。胸でも揉んでろっての!」
休み時間を終えるチャイムが鳴った。
「ダサい男がお前よりモテてたらどーだよ?ウゼーだろ?!」
「そりゃウゼーな。」
「ブスが自分よりスタイルいいからそれがウゼーんだよヤツラは!」
Rをブスだと思い込んでいる今の発言が心なしかちょっと嬉しかった。