投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

平和への道のり
【アクション その他小説】

平和への道のりの最初へ 平和への道のり 60 平和への道のり 62 平和への道のりの最後へ

Ethno nationalism〜決断〜-10

「ナオ、エイプリルフールには随分と早いぜ。お前さんがオレの声を聞きたいのは嬉しいが、残念ながら違うよ」

(…やっぱりヤツラか……)

藤田は一変、話題を変えた。

「ところでチャールズ。この間、言っていたウィンザーのアパートは、まだ空いてるのかい?」

「ああ、そのままだが?」

「そこを1週間ばかり貸してくれないか?もちろん料金は払うから」

藤田の申し出にオブライエンは鼻を鳴らす。

「随分水くさい事を言うんだな。金なら要らんよ。連絡をしとくから好きに使ってくれ。となりの大家がカギを持ってる」

「すまないな」

オブライエンは、何かを感じ取ったのか藤田に聞いた。

「ナオ、何かあったのか?」

藤田は明るい口調で答える。

「借金取りから逃げてるようなモンだ。もし、そっちにオレを尋ねる電話があっても……」

「分かってる。知らないと言っておくよ」

オブライエンは、笑いながら答えると電話を切った。

(これで2〜3日は時間を稼げる)

ヤツラからすれば藤田を消すなど造作も無い事だろう。だが、不思議と恐怖感は無かった。


(先日はあれほど〈死〉を恐れていたのに……)


藤田はウィンザー往きのバスに乗り込んだ。


平和への道のりの最初へ 平和への道のり 60 平和への道のり 62 平和への道のりの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前