**ヲタクアイドルとアイドルヲタク**-1
私は歩いていた。
誰もいない廊下。
聞こえるのは私の足音と息遣いだけ。
覚束ない足取りで、息を切らして、壁つたいに歩いていた。
もう‥歩けない。
足を止めて、座りこんでしまう。
「大丈夫?探したよ‥。」
誰だろう‥‥
うずくまる私を優しく抱き締めてくれる。
胸のバッチの色から三年生であることがわかる。
ん、ぅん‥‥‥‥
あ‥れ‥‥?
「いい加減起きなさいよ。学校はあんたの家じゃないのよ。」
「んのゎあっ!!!」
びっくりした‥‥。
目を開けたら、どアップの花ちゃん(花田ミチヨ独身42歳)がいた。
「あんた朝からずっと寝てんじゃない。何しに学校来てんのよ?」
あぁ‥‥そうだ‥私、倒れたんだっけ?
片桐先輩が運んでくれて‥
「んだ―――――ッ!!!」
「何よっ!??いきなり大きな声だして、ここは悩める小羊たちのオアシスよ?静かにしなさい。」
花ちゃん、なんか表現が古くさくない?
今時の高校生は悩んでても狼の皮をしっかり被ってるよ。
「って、そんなことはいいの!!!私‥‥私‥‥‥」
片桐先輩に‥‥‥‥
お姫さまだっこ‥‥‥
してもらったのに‥‥‥
なのに‥‥‥