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よくある怖いお話
【ホラー その他小説】

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よくある怖いお話-1

 20年ほど前、ある所に小さな集落がありました。
 そこは自然に溢れ、住民の愛情に育まれた閉鎖的な集落でした。
 閉鎖的と言えども、作物の収入は豊かだったし、何ら困ったことのない素晴らしい集落でした。

 夏も過ぎ去りし9月21日。一人の村民が行方不明となりました。今までそのような事件にあったことのない村民達は、見えない恐怖に怯え、うちひしがれることとなります。


 行方不明から少し経つと、続けざまにまた、村民や家畜などが消えて行きます。死体も発見出来ず、ついに村民は外に出れず、一日を家の中で過ごすこととなりました。


 ある日、村に住む2人の若い夫婦に一通の手紙が届きました。
 何事かと手紙の封を切ると、
「お前らは何故出てこない
 皆出てこない
 前にずっと立っているのに
 殺していないんだ
 もうずっとだ
 したたる血が見たい
 殺したい、ああ早く
 だから諦めて
 すぐに出てこい
 あああ、あははははははははははははははははははははははははははははははは」

 と、赤い字で殴り書いてありました。
震え上がった夫婦は、村の皆にこのことを伝えようと思いましたが、手紙の一文である『前にずっと立っているのに』という文が気になり、外に出ていくのを躊躇いました。
 山奥という環境もあってか、電話線がまだ通っていなかったのです。



 若い夫婦の妻は日々見えない恐怖に衰弱し、食料も尽きてきた頃、ついに死を覚悟し、どうせ死ぬのならと思い出の地に行く為、意を決して扉を開きました。


 途端、あまりの悲惨な光景に目を疑い、いや、我を疑いました。
 四方八方死体死体死体。
 緑で覆われていた豊かの面影は全く無く、変わり赤で覆われた地獄が底に広がっていました。

 驚愕し硬直している妻のその首に、冷たい、刃物のようなものが当てられました。

『村人が家から出てないのに、どうして手紙が我が家に届く』

 それと同時に、聞き慣れた図太い声が誰もいない集落に響きます。

『だからサヨウナラ』

 女は何かを言おうとしましたが、その間も無く、鮮やかに、静かに首を切り落とされました。
 そして、集落の民は一人を除いて、いなくなりました。





 犯人と思われる男はいまだに見つかっておらず、この大量虐殺事件は迷宮入りとなった。犯人は恐らく生存してると思われ、迷宮入り後も注意を怠ってはいけない。


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