『ぼくをかいませんか2 side-K』-3
「ホント!?」
俺はとびきりの笑顔をつくって女に駆け寄りすがりついた。
「ありがとう、おねえさん。」
やっぱり俺の確信に間違いはなかった。
とりあえず、これで今夜の暖かい寝床はゲット。一安心だ。
抱くなら綺麗な女がいいし。
すりよった女の腕から、スーツ越しに温かさが伝わる。
女は俺の頭を撫でた。
ふんわり、優しく。
なんだか扱いがペット的だな…。
とにかく――
俺達は黙って歩き出した。
寒さに凍えた体を支え合うように。
「着いたよ。」
もう?早くね?
そう言われて見上げたマンションは、かなり立派なものだった。
…マジ?
「すごい…おねえさんって一人暮らしじゃないの?」
俺を買うくらいだからてっきり一人暮らしだと思ってたけど、これは一人で住むデカさじゃないよな…
見上げたマンションは10階以上はある、まだ新しいものだった。
「一人だよ?」
女は少し微笑んで言った。
マジ?何でこんなでかいマンションに一人で住んでんだ?
女は慣れた手つきで入り口のロックを解除し、ホールへと俺を促した。
こんなマンション入ったことない。
今までの俺を買ってくれた女達とは違っている。レイナさんは家庭がある人で、一戸建てに住んでるけど…
なんだかこの場に居る自分がひどく場違いに感じる。
女はそんな俺に構うことなくエレベーターのボタンを押している。
静かにエレベーターは7階で止まった。
701。女が鍵を差し込んだドアにはそう書かれている。
開かれた入り口。
女は先に入って、優しい目線で俺を促した。
「どうぞ」と。