SLOW START Y-1
【本当にごめん。今日お前に好きだって言うだけのつもりだったんだ…傷つけてごめん。でも本当に晶の事好きだ。それだけは信じて欲しい…】
重く腫れた瞼を持ち上げ先輩からのメールを見る。
あれから家に帰ってそのまま寝てしまったらしい。
時計を見ると朝の7時。
服を着たままだったので体が固くなり筋肉痛のようになっていた。
目を覚ますためにシャワーを浴びることにした。
朝は寒い。シャワーの温度を上げ頭からかぶる。
少しさっぱりした。
風呂から出てタオルで体を拭く。スウェットを着て台所に向かう。温かい紅茶をいれ、一息着いた。
何をしてても頭の中には昨日の事が浮かぶ。
「はぁ〜」
ため息が出る。
その時、携帯が鳴った。
見るとさくらから電話が着ていた。
「もしもし?」
いつもより低い声が出て自分で驚いた。
「もしもし〜4回目でやっと出た。今、家?」
この前に3回掛けていたらしいさくらはちょっと不機嫌だった。
「いるよ。どしたの?」
「じゃあ開けて〜」
「…ん?何を?」
「あ〜け〜て〜」
…外から同じ声が…?
ドアに近付きそっと開ける。
さくらが何やら大荷物を抱え笑顔で手を振りながら立っていた。
「ぅお〜い。何してんの?土曜の朝だって分かる?」
力が抜けそうなのを堪え、さくらに大人の常識があるのか確認した。
「知ってる。でも緊急だから仕方な〜い。」
そう言うと当たり前かのように部屋に上がる。
「…で何?また喧嘩?」
こういう時は大概、彼氏と喧嘩して出て来た時だ。
「喧嘩〜?そんなイイもんじゃないぜ〜」
イライラを押さえ話しを聞くと彼氏の元カノと名乗る女がさくらの会社に来たらしい。元カノは何やら妊娠しているらしく子供の父親はさくらの彼氏だと言うのだ。
「その時は信じなかったけど帰ってあの野郎に聞いたら一回だけ元カノと浮気したとか言いやがったから…もうダメだね」
さくらは怒ると怖い。騒がず泣かずただ冷静に対応する。その時の目が本当に怖い。まるで殺し屋のように。
さくらにとっても昨日は大変な日だったらしい。
さくらの話しが終わると私も昨日の出来事を話した。
話し終わるとさくらは騒ぎだした。