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僕の彼女が泣いた時
【純愛 恋愛小説】

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僕の彼女が泣いた時-1

僕は彼女の泣いたところを見たことがない。


彼女と付き合う前から強い人だとは思っていたけれど…。


100万人が泣いたといわれる映画を観ても泣かなかった。


共通の友達の結婚式でも泣かなかった。


僕の飼っていた猫が死んだ時も泣かなかった。


肝試しに行っても彼女は泣かなかった。むしろ喜んでいた。


喧嘩の勢いで僕が別れを切り出した時も泣かなかった。
後から土下座をして謝った時ももちろん泣かなかった。


クリスマスに僕は彼女にシルバーリングをあげた。真ん中に小さなダイヤが付いたシンプルなリング。
彼女はものすごく喜んでくれたが泣きはしなかった。


付き合って一年の記念日の日も君は泣かなかった。


彼女は仕事で失敗しても決して泣かなかった。


一緒に住もうと言った時も彼女は泣かなかった。


慣れない料理をして指を包丁で少し切ってしまった時も泣かなかった。


二人でいれば何も恐くないのと言って寄り添い合って眠った夜も、彼女は泣かなかった。


そして…


僕が事故にあった時も彼女は泣かなかった。
泣いてる場合じゃないと言って、僕を真剣に見つめてくれた。


僕が目覚めた時も彼女は泣かなかった。ただそっと頬を撫でてくれた。


包帯だらけの僕が結婚しようと言った時も彼女は泣かなかった。瞳をキラキラさせてこくんと頷いた。


その日の夜、僕の様態が悪化した時も彼女は泣かなかった。




僕が死んだ時ですら、君は泣かなかった。





葬儀の時も彼女は泣かなかった。凜とした態度で立派でいてくれた。


数週間が経って、彼女は僕からの手紙を見つけた。
彼女の名前が封筒の真ん中に書かれているだけの素朴な手紙。


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