僕の彼女が泣いた時-2
『麻理へ
君がどんな状況で手紙を見つけたのか、僕には想像も付かないけれど、少し僕に時間をくれないか?
もしもの話だよ。
もしも僕が君より先に死ぬようなことがあれば、僕は空になるよ。君だけの上に広がる空になる。
君が辛く悲しい時、僕は風になって君を抱き締めるよ。
君が嬉しい時は、雪になって君を彩ろう。
星になって君を照らし続けるし、雲になっていつまでも君を見ている。
そして、笑ってくれたら僕は太陽になって君の笑顔を輝かせるから…。
だから、笑って…幸せになるんだ。
君の未来に君が恐れるものは何もない。あるのならば僕がそれを無くしてあげる。
照れ臭くて言えなかったから手紙にしたんだ。
これは君に向ける最初で最後のラブレターなんだよ。
僕はずっと君を愛してる…。
克基より』
「そこにいたんだね…」
僕は彼女の髪をさぁっと撫でた。風になびく彼女の髪はとても綺麗だった。
それに答えてくれたのか彼女は両手を広げ僕の分身を抱き締めてくれた。彼女の温もりが懐かしい。
彼女の瞳には宝石のように美しいものが浮かんでいて、やがてそれはキラキラと輝きながら零れていった。
そして彼女は笑った。僕に向かって笑いかけてくれた。
「ずっと愛してる」
それが僕の彼女が泣いた時だった。
END