**ヲタクアイドルVSメガネ王子**-1
小学三年生の頃、運動会の競技が徒競走からリレーに変わって、運動が苦手な私はそれが嫌だった。
リレーのような団体競技は自分のせいで負けてしまうかもしれないし、負けたら自分のせいと思われるのが恐かった。
だから運動会の前日に蟻の大虐殺をしてしまった。
きっとその蟻が私を呪っているのかもしれない。
中学二年生の頃、卒業する先輩に告白するために友達四人で放送室をジャックして、告白をした。
しかし名前を言わなかった友人は自ら名乗り出ることもできず、失恋した。
私の人生でもっとも深く反省していることだって、こんな次元なのにどうしてここまでヒドイ仕打ち‥。
どうも。
頭が果てしなく混乱している中、帰宅中の渡辺です。
先輩の話には私の辞書に載っていない、今後載る予定のない単語がたくさんあった。
ルナ・タラージュ‥‥
いちごモモイロ星‥‥
ブラウン管を通した遠距離恋愛‥‥
トロピカルワープ‥‥
オーロラカーテン‥‥
たしかミスチルの歌でオーロラのカーテンって歌詞が出てきたっけ‥。
「ただいまぁ―。」
あぁ‥安らげる我が家よ‥
「おかえり。遅かったわね。どうしたの?顔色悪いじゃない。」
ちょっと異星人との会話に疲れちゃってね。
「お母さん、あたしお母さんの子供だよね?」
若干の不安が過る。
こんな質問を真面目にしている時点で既に洗脳されているのかもしれない。
「ひより‥‥そのことなんだけど‥‥」
えっ‥‥?
いやいやいやいやいやっ!!そんな展開!???
「実はあなた‥お父さんが酔っ払って拾ってきた子なのよ‥。」
「いやいやっ!!お願い!!嘘って言って?拾ってきたって言っても人の子だよね?ちゃんと地球で生まれた人間だよね?」
「えっ!??‥もうお父さんから何か聞いたの?」
「何かって、何を!??」
「あなたは‥流れ星から降ってきた子なの‥地球で生まれた人間じゃないのよ‥‥。」
うそだ‥‥。
誰か、うそだと言ってください‥‥。
お母さんのエプロンを掴んでいた手は力をなくし、憔悴しきった顔で部屋へ行く私。