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聖なる夜に…
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純白の訪問者-4

ー夕方ー

めぐみは定時に業務を終えると、急いで着替えて会社を後にする。
まだ〈トスカーナ〉の予約時刻には大部有るが、急いでいた。
敦へのプレゼントを買っていないのだ。今日とは薄々思ってはいたが、会社に持ってくる訳にもいかない。
彼女はここから地下鉄で2駅先にある百貨店へと行くため、地下鉄の駅を目指した。


「この辺で待ってりゃ良いよ」

沙耶と知佳子は、佐藤物産ビルの前に訪れた。そして、植え込みのある石段の前でめぐみが出てくるのを待つ事にした。

2人共、ダウンジャケットに厚手のセーター。首元にはマフラー、頭にはニット帽と防寒対策に万全な恰好だ。
しかし、暗闇の中、冷たい風が頬を撫でつける。足元から徐々に2人の体温を奪っていく。

「…ね、ねぇ…チカちゃん…」

沙耶は口を震わせて、

「そ、そこのコンビニでさぁ…カイロ買おうか?このままじゃ寒くて死んじゃうよ」

そこは1年前、沙耶が敦と出会った場所だった。

「そうね…」

答える知佳子はそんな素振りを見せていなかった。
〈ギブッツ〉以来、彼女は家の仕事や地域のボランティアにも積極的に参加し、屋外の寒さに慣れていたのだ。
しかし、友達思いの知佳子は沙耶の言う通りにコンビニについていった。

コンビニの暖かさが沙耶の生気を甦らせる。知佳子は〈私は見てるから〉と中から石段を眺める。
沙耶は足先に貼るタイプと腰に貼るタイプの使い捨てカイロを買って店を出た。

「ホラッ、チカちゃんも」

そう言って、2人でコンビニの駐車場で足先や腰にカイロを貼る光景は、周りからは異様に写る。

再び石段に戻ってきた。だが、彼女達が目当てのめぐみは現れない。
沙耶が腕時計を見る。すでに6時半を過ぎていた。





めぐみがプレゼントを購入して〈トスカーナ〉に向かう。時刻は7時前15分。何とか間に合う。

(…喜んでくれれば良いけど……)

地下鉄を降り、歩道を歩きながら考えるめぐみ。〈トスカーナ〉を目指す。


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