僕らの日々は。〜神様バースデー〜-3
「……何だコレ?」
「春風ー!来て来て!」
「どうしたの?」
「コレよ」
一葉が指差した先には机が一つ。
ツリーの根本に置いてあるその机には、
『願い事を書いてツリーに吊そう!』
というメモと、マジックが一本。
その横にツリーに掛かっているモノと同じ形の、色とりどりの短冊が置いてあった。
……いや、というか。
「クリスマスと七夕がごっちゃになってないか……?」
「うーん、カオスね……。そもそも七夕って中国の行事でしょ?見事に西洋と東洋の文化が混ざったわね」
「……見事か?コレ」
まぁ様々な色の短冊がちゃんとツリーのデコレーションとしてマッチしてるので、見事と言えば見事だが。
「ねぇ、春風」
「ん?何?」
一葉は疑問を口にした。
「……コレって、日本文化かしら?」
「………はい?」
日本文化……って。
「いや、クリスマスはまんま西洋文化だし、七夕は中国だし。少なくとも日本文化じゃないだろ」
「でもクリスマスツリーに願い事を掛けるなんて、世界でも日本だけだと思わない?」
「そりゃぁ…、そうかもしれないけどさ」
……というかこんな変な事をするのは日本でも珍しいと思うが。
でも確かに、どちらの文化も受け入れて両方共行っているのは日本くらいだろう。
クリスマスに七夕に、お盆にハロウィンにバレンタインデー。
これだけたくさんの異文化が受け入れられている国も珍しいと思う。
「クリスマスも七夕も異文化だけど、その二つを足して新しい習慣を作ったら、それは日本文化になるのかしら?」
「んー…、難しいな」
確かに日本だけの習慣かもしれないけど、……日本文化というのもまたちょっと違う気がする。
と、一葉がパッとこちらに向き直った。
「ま、ホントはどっちでもいいんだけどね」
「いいのか」
「いいのよ」
フフン、と笑う。
「クリスマスでも七夕でも、楽しい事は何回やっても楽しいんだから。一緒にやってもきっといいハズよ」
「そんなもんかな」
「そんなものよ」
一葉は続ける。
「祝える事は何だって皆で祝えばいいのよ。願い事だってたくさん叶った方がいいしね!」
「……ま、それもそうか」
文化がどうだとか、難しい事は問題じゃない。
キリストさんだって誕生日を祝ってくれる人は多ければ多いほど嬉しいだろう。
「さて春風。私達も願い事書きましょ!」
「あ、やっぱりやるんだ」
「当たり前じゃない!」
早速一葉は書き始めている。
……にしても。