僕らの日々は。〜神様バースデー〜-2
「うーん。なんか皆『キリストさんのお誕生日』を祝ってるっていうより、『クリスマスが来る』のを祝ってる感があるのよね。コレって本末転倒じゃない?」
「まぁ、確かにね。キリスト教でもない限りキリストさんの誕生日を祝う人はいないかも」
……そういや僕も『メリークリスマス!』とか言うことはあっても、その言葉とキリストの誕生日を結び付けたことは無かった気がする。
「誕生した事を、じゃなくて誕生日自体を祝ってるから変なのよね」
「じゃあ一葉ならどうする?」
んー…、としばらく考え、
「……クリスマスケーキってあるじゃない?」
「え?うん、あるけど…」
「それをさ、誕生日の主役であるキリスト様じゃなくて祝う側の私達が食べちゃってるのに問題があるわ」
「なるほど、主役がケーキを食べてないワケだ。……でも普通に考えて無理だろ?」
またしばらく一葉は考え、
「……神棚にお供えしてみるとか?」
「神棚、ね………」
まぁ確かに神様には違いないが。
神棚に日本の神様とキリストさんが並んで座ってケーキを食べている姿を想像して、ちょっと笑った。
▼▼
数時間後。
「……なぁ、一葉」
「ん?なーに?」
一葉はニコニコご機嫌。
対する僕は……。
「……買い過ぎだろ、コレ」
「そう?普通じゃない?」
僕の両手には一葉が買った服などの袋がぶら下がっている。
………正直、重い。
「最近全然買ってなかったからついついねー。まぁ、着たときには最初に春風に見せてあげるわよ」
「……そりゃ光栄です」
そういや夏にも同じような事を約束したな。
その時は一葉が友達と遊びに行くときにわざわざウチに寄って、新しい服を着たのを見せに来たっけ。
……まぁ一葉はセンスがいいのか、買ったものはたいてい着こなす。
なので、見る側としては全然嫌じゃないのだが……
「……それとこれ(荷物持ち)とはまた別問題だよなぁ……」
「ん?何か言った?」
「いや、何も……あれ?」
アーケードの真ん中に、この時期はよく見かける木が立っていた。
立っていた、…のだが。
「あ、クリスマスツリーじゃない。……でもなんかちょっと普通と違わない?」
「ホントだ。……何だろ?」
普通クリスマスツリーには様々な飾り付けがしてある。でもこのツリーには短冊のようなモノがたくさん吊してあった。