投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

平和への道のり
【アクション その他小説】

平和への道のりの最初へ 平和への道のり 28 平和への道のり 30 平和への道のりの最後へ

Ethno nationalism〜激動〜-10

その目を見つめた藤田は再び笑みを浮かべて、

「…ホットを……」

「…はい……」

静代はカウンターの奥へと歩いていった。


街は秋の暖かい風から、初冬の冷たい風に移り変わりつつあった。


ー北九州ー

東京、大阪、福岡と、すべての商談を終えた佐伯は、安堵感よりも、藤田の撮った映像を待ち切れない思いで、宿泊先のホテルから電話を入れた。

数コールの後、いつもの静かな口調が受話器から聞こえた。

「こんにちは。佐伯です」

「どうだった?商談の方は」

「そっちの方はバッチリ上手くいきましたよ」

「じゃあ今日にでも来るのかい?」

佐伯は腕時計を見ると、

「そうですね。今から昼食を摂りますので、夕方にでも自宅に伺います。それからにでも……」

「分かった。準備して待ってるよ」

「それじゃあ後ほど」

佐伯は連絡を終えると、ホテルの最上階にあるレストランへと部屋を出掛ける。
しかし、広い展望レストランでひとり食事をするのは味気ない。

(むこうに行くか……)

思い立った佐伯は直ちにホテルをチェックアウトすると、新幹線で藤田の待つ福岡市へと向かった。



佐伯からの電話を終えた後、藤田は数日ぶりに暗殺のビデオを眺めていた。
すでに10日以上前の出来事だが、何度見ても画面から伝わる迫力により頭が熱くなるのを覚える。

(…しかし、これほどの規模で……)

藤田の中に疑問が浮かぶ。

殺害のためには、ターゲットの正確な情報はもちろんだが、それ以前に爆弾をセットアップする必要が有る。
だが、場所は中東ベイルートの繁華街。そこで人目に付かないように作業をやるには、並の集団では無理だ。

(なるほど……)

おぼろげながら、全体像が見えてきた。
藤田は、再び映像に見入った。




佐伯の乗る新幹線が博多駅に到着した。これから昼食を摂って、藤田に会いに行こうと思っていた矢先、携帯が鳴り出した。

佐伯は駅ホームでディスプレイを見た。初めて見るアドレスだ。


平和への道のりの最初へ 平和への道のり 28 平和への道のり 30 平和への道のりの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前