はるのいろ#2-1
私達は、近くのファストフード店に入った。
私はこれくらい払えるお金は持ってると言ったけど、彼は借りを作るのは嫌いだと言って、結局彼に奢ってもらった。
「お前、名前は?」
「…笹部葵。」
「俺は藤川春樹。」
「よ、よろしく…。」
「お前、高校何年?」
「…二年。藤川くんは?」
「同じ。俺も二年。」
「藤川くんは、さっき近くにいた高校に行ってるんだよね?」
「ああ。お前は?」
「私は…某私立高校。」
「ふーん…。」
彼は饒舌ではないようで、私とは初対面だからか、短い言葉で少しずつ話した。
けれども別に威圧感や不良が放つ怖そうなオーラもなく、私は彼を怖いと思わなくなっていた。
そして、さっきはよく見なかったから分からなかったけど、彼は結構かっこよかった。
だからどうしたっていうわけじゃないけど。
私はいろんなことを話した。
彼も少しずつ、いろんなことを話してくれた。
時が経つのも忘れてそんなことをしてる間に時刻は午後四時を過ぎていた。