はるのいろ#2-5
「わぁ…っ。すっごい眺めいいね…っ。」
そこは高台にあり、辺りの景色が一望できる場所だった。
「ここ、よく来るの?」
「よくではないけど。たまに、な。」
「まあバイクで30分って、結構遠いしねー…。って言っても藤川くんはバイク持ってるんだっけ。」
「んー…でもこれ、元々は俺のじゃないけどな。」
「え…?」
「この前盗んできたやつ。」
「はぁっ!?返してきなさいよっ。そんなことしていいと思ってんの?」
「思ってるからすんの。俺、サイテーだもん。」
「自分でそんなこと言って…悲しくないのっ?」
「別に。ホントのことだし。」
「まぁ…私も…サイテーなんだけどね。」
「何が?」
「まあ、いろいろとあるのよ。そこは訊かないのが気の利く男ってやつよ?」