はるのいろ#2-3
「…よう。」
「あ、藤川くん。久しぶりー…かなっ?」
「会うのはな。」
「今日は先生に見つからないようにしなきゃねっ。」
「だからさっさとここから離れるぞ。」
そう言って彼は私の手を引いて歩き出した。
「ど、どこ行くのっ?」
彼は私の言葉には答えないで、無言でたくさんの自転車が路駐してあるところに来た。
自転車の他にはバイクもいくつかあって、彼はそのうちのひとつを慣れた手つきでエンジンをかけた。
「ほら、乗れ。」
「え!?」
「後ろに乗れっつってんのっ。」
「…私…バイクなんか乗ったことないから怖い…。」
「大丈夫だって。」
言われるがままにバイクに乗せられ、そのまま走り出した。