難読語三兄妹恋愛暴露~長女Ver.~-9
「学校でポチが歩いていっちゃった時も、ポチが死んだと思った時も、アタシすごく悲しかった。玄人なんか足元にも及ばないくらいいなくならないでって思った」
長閑はズッと鼻をすすりました。
「アタシも…ポチのこと、好きみたいだよ…」
「ところで日和、俺たち入ってけねぇぞ」
私と玄人は病室の前の廊下でそんな二人のやり取りを聞いていました。
「いんじゃない?入っていきなよ、面白いことになりそうじゃん」
「いや、さっき俺とポチ比べられて足元にも及ばないって言われてんだぞ?立場ねぇじゃん…」
やはり実の兄貴として負けたくなかったのでしょう。
玄人の顔は本気でショックを受けているようでした。
中からは二人キャッキャとはしゃぐ声が聞こえます。
「ねぇ玄人、私早く帰りたい。ここでつっ立ってるなんて時間の無駄」
私は病室に背を向けて歩きだしました。
「ちょ、待て…待てって!」
その後を私のバカ兄貴もついてきます。
病室を離れてからも、二人の楽しそうな笑い声はずっと聞こえていました。
…さて。
順番から言うと次は私ですが、残念ながら私は恋というものに全く関心が無いのでこの話はこれで終わりかもしれません。
でも、何かの間違いでもしもまた会う時があったならばその時はよろしくお願いします。
それでは、さようなら。
<長女Ver.Fin>