at office3-4
あと少し、早く片付けてしまおう。と集中して資料とにらめっこしていると、急に部屋の電気が消えた。
「えっ?やだ!なに?」
狼狽えて席を立ち、入り口のスイッチを点けに行こうとしたが、真っ暗で何も見えない。
「びっくりした?」
「ぎゃっっ!」
急に背後から言われ色気のない声をあげてしまった。
「昌樹さん!びっくりするに決まってるでしょっ!」
振り返ろうとすると、そのまま後ろからきつく抱き締められた。
「…昌樹さん?どうしたんですか?」
ものすごく胸がドキドキ鳴っているが、平静を装う。
「何でもない。」
何でもない、という割には少し息苦しいほど抱き締められている。背中から昌樹の鼓動が伝わってくる。それに合わせて自分の鼓動の音も大きくなる。それに反して鼓動と一緒に背中から伝わる昌樹の体温に、安心しきっている自分もいる。安心しているのに鼓動が高ぶるなんて、矛盾している。でもこの矛盾は心地がいい。
昌樹に体重を少し預け、目を閉じると、昌樹の手がスーツの合間から左胸に触れてきた。
「ま、昌樹さん…。」
「美南、ドキドキいってる。」
昌樹の手は心臓の上に止まり美南の鼓動を確認するようにぴったりと動かない。
真っ暗で何も見えないと言っても、ここは会社のフロアだ。こんな風に抱き締められている姿を見られるのはまずい。
昌樹の手を退けようと、手首を掴んで力をいれた。だが昌樹はまるでびくともしない。
「昌樹さん…はなして…ください…」
消え入りそうな声で抵抗を呟くと、いやだ、と耳元で囁かれた。
その低い声に背筋がぞわっとして思わず肩をすくめると、それがスイッチだったかのように昌樹の手がモゾモゾと動きだす。
「昌樹さん、誰か来たら…。」
そう言って抵抗する美南を牽制するかのように、空いた手で腰をぐっと抱き寄せられた。
思わず美南は体を強張らせて赤面する。
腰の辺りに当たる昌樹自信はもう固く主張をしている。美南が欲しい、と。
次の言葉を失っているうちに、シャツのボタンが外されていく。3つ目のボタンを外したところで、昌樹の手が直接胸を捕らえた。
「あっ…!」
昌樹に触れられて気付いたが、美南の敏感な先端は、既に触ってほしいと言うようにぷっくりと固くなっている。
すぐ耳元で昌樹がくすっと笑った気がした。イヤらしい身体を笑われたようで、羞恥の余りぎゅっと目を瞑り唇を噛んだ。
「誰も来ないよ。」
そう呟く昌樹の声に背筋が粟立つ。
認めたくはないが、自分は今この状況に感じてしまっている。
こんな浅ましく昌樹を求める事を悟られたくなくて、必死に唇を噛み声を殺した。
だが、昌樹は弱いところばかりを攻めてくる。
首筋を唇と舌先でなぞられ、胸の先端を強弱を付けて弄ぶ。耳を甘噛みして、美南、と低く名前を呼ぶ。
もうそれだけで理性が切れてしまいそうだ。
段々力が抜けて、身体を昌樹に預けていく。そうすると必然的に腰に昌樹の熱いものがあたる。
「ん、んん…ふ…っ」
声を押し殺しているので、酸欠で頭がくらくらしてきた。
昌樹の固く熱い興奮から遠ざかろうと、腰を捩(よじ)ってみたが、それは余計に昌樹を煽ってしまったようだ。腰を抱き締めていた手で、バンツスーツのボタンを外しにかかった。
「や!だめ…」
否定の言葉を発するが、声には甘さが含まれてしまい説得力がない。
そのままパンツスーツを足首までずらされ、足の自由を奪われる。外気に曝(さら)されたせいで、ショーツの中がぐっしょりと濡れているのを自覚してしまった。
それでも、もしかしたら社員が入ってくるかもしれない、警備員が見回りに来るかもしれない、という不安が美南の理性を呼び戻す。