投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

小悪魔と盲目なるワンコちゃん
【大人 恋愛小説】

小悪魔と盲目なるワンコちゃんの最初へ 小悪魔と盲目なるワンコちゃん 0 小悪魔と盲目なるワンコちゃん 2 小悪魔と盲目なるワンコちゃんの最後へ

小悪魔と盲目なるワンコちゃん-1

男には夢も幻想も持っていない。
小・中学ん時からの腐れ縁である先輩後輩を含め、下半身の汚さ・醜さ・卑しさ・だらしなさを嫌というほど見てきたから。
男はち○ぽで感じ、ち○ぽでモノを考え、ち○ぽで行動する。


『恋愛はいつも勃起で始まり、絶頂で終わる』


まさに、ち○ぽ至上主義。
そんな化けの皮をかぶった狼どもの中を、あたしはのらりくらりとすり抜けてきた。
『スキを見せれば、ナメられる』
『女はヤッたら、そこで終わり』
本当は小心者で臆病者なのに、懲りないほど好奇心旺盛で。
笑って躱して。
笑って殴って。
笑って説いて。
そのくせ、危なっかしいほど男の下ネタ・猥談には食いまくり。
言葉遣いが汚く、我儘で気紛れで高飛車な女として、周りからは『小悪魔』『女王様』『魔性の女』『蝶々』『雪の女王』などと呼ばれたりした。
好かれようと思っていなかったから、嫌われても平気だった。
自分を守るために、わざと自己卑下したり。
「理想の男は年収1000万以上!」
「んなヤツいるか!地元から出て行け―――っ!」
悪態さえも勲章。
それでも変に群がってくる男たちが滑稽で楽しくて、駆引すらも快感でワクワクしていたあの頃。
本当は警戒心の裏返しだなんて、当時の彼らには知る由もしなかっただろうね。


ちっちゃい頃からのトラウマか、「いいな」と思う男がいても最後まで好きになったことがない。
「愛してる」という言葉すら大迷惑だった。
痛みに慣れすぎた心は麻痺して、虚ろなのに。
見栄っ張りで。
恋だの愛だの彼氏だのと周りに流されるまま、無理にドキドキはしゃいで、赤面爆発なほど恋に恋をしてきた。
今じゃ笑い話ね。


そんな『恋愛オンチ』なあたしこと紫煌(ゆらめき)の、一番ムカついた昔話―――。



「すんませんっ!」
春うららかなある日の会社帰り、赤い自転車に乗った男性からラブレターをもらった。
バスの時間までまだ間があるから、ちょっくら運賃をケチって5つ向こうの停留所まで歩いていこうと思った矢先のこと。
「今すぐ読んでください」
薄く頬を染めた彼の突然さにびっくりしつつも、中身を開ける。
お〜、ラブレターなんて久しぶりじゃな。
んふっ、今どき古典的ね。
水色を基調とした、水玉模様の封筒に便せん。
ああ、男ってこんな可愛いものも選べるんだなと思いながら、読んでみた。

『ずっと前から君が好きでした。初めて見かけた時から、君のことばかり考えています。もし良かったら、友達からでもいいので、付き合ってくれませんか?』

その後に、彼の名前が続いた。
ふ〜〜ん、そっか〜。
別に、好きと言われても驚くようなことじゃない。
逆に何故、あたしみたいな女を好きになれるのか、そこがいつも不思議だ。


小悪魔と盲目なるワンコちゃんの最初へ 小悪魔と盲目なるワンコちゃん 0 小悪魔と盲目なるワンコちゃん 2 小悪魔と盲目なるワンコちゃんの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前