投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

小悪魔と盲目なるワンコちゃん
【大人 恋愛小説】

小悪魔と盲目なるワンコちゃんの最初へ 小悪魔と盲目なるワンコちゃん 2 小悪魔と盲目なるワンコちゃん 4 小悪魔と盲目なるワンコちゃんの最後へ

小悪魔と盲目なるワンコちゃん-3

「あなた、A型でしょ?」
「えっ?何でわかるんですか!?」
そりゃあ、ワンコ気質はA型に多いもん。
ついでに言えば、普段は真面目だが感化されやすく、一度テンパると饒舌になるのがA型。
大らかでそつがないようで無頓着、いざとなれば頑固で冷たいのがO型。
馬鹿無鉄砲のようで一途、気づけば群れから一歩身を引いてるのがB型。
クールであざといようで、実は淋しがり屋で流されやすいのがAB型。
「それに、次男?」
「そ、そうです!」
やっぱり……。
性格的に例えると、尻尾までお座りできるのが長男で、お座りできても落ち着かずに尻尾フリフリしてしまうのが次男から末っ子なの。
まあ、あたしだけにわかる持論だけどね。
「ついでに、女の兄弟はいない?」
「紫煌さん!エスパーですか!?」
んな訳なかろ〜、今までの統計学だよ。
女兄弟のいない男は、女の細かい気持ちや行動が理解できない無神経さと傲慢さがあるの。
男兄弟のいない女も、また然り。
さっきの遅刻で悪びれなかった彼に、ピピ〜ン直感。
あの狼どもの中で磨いてきたこの人間観察力、甘く見ないでよね。
はあ、思ったより面倒臭そうだな……。


晴れ渡った青空、車で北上した先は花回廊。
彩り豊かな花畑や温室などを観賞したり、ベンチに座って楽しくおしゃべりしたり……
「紫煌さん、綺麗ですね。俺の友達で一番若い女の子が22歳なんだけど、その彼女よりずっと若いです!なんで〜?」
まさか。
会社じゃ普通に、後輩よりは年上に見られてるよ。
「目力があるから?」
「いや〜それだけじゃないような。生き生きしていて……見ているだけで何だか圧倒されます」
あ〜人生経験かもね。苦労してきたから今がある、それに尽きる。
でも、口に出して言わない。
「鬱屈してんのは嫌いなの。嫌なことはさっさと忘れて、マイペースに、毎日明るく楽しく考える方が楽じゃん?」
世知辛い世の中だからこそ、そうでもしなちゃやっていけんもん。
……まあ、そんな会話をだらだらと。
でも!
手を繋ぐ・奢る・写真を撮る、極めつけに「今日の記念に…」とペアキーホルダーまで買いたがるとは!
それはないじゃろ?
ただの友達でいたいのに、すっかり浮かれて彼氏気取りな彼。
はあ〜気が重い。
もしかして、これが普通?
「あのねっ!自分の分は自分で出すよ!今日ちゃんと会ったばかりなのに、気が早いって!わかってる?」
「うんうん、わかってますよ」
本当かよ〜〜。
澄ましているつもりの、このポチ顔!油断ならんわぃ。


帰りのドライブでも、挙動不審な彼。
運転席からのチラ見チラ見に、あたしが用意してきたBGMで「この曲、いいね〜」連発。
何じゃろ?
彼とは音楽の趣味が正反対なのね。
「何枚か持ってきて」と言うから、慌てて無難なものを昨日買ってきたけどなぁ……。
変な不安感がふつふつ。
トイレ休憩時に、アルバムジャケットをチェックしてみる。
しまったぁああああ!
声にならないムンクの叫び!
信号が変わる間にキスしようみたいな歌詞に、すっかりリアルに感じちゃったのね!彼は!
ヤっバぁああああい!!
恋心急上昇とか?
恋心肥大化とか?
はぅはああああああ!!
いけんいけんいけん、そのドキドキ、ちょっと待ったっ!


小悪魔と盲目なるワンコちゃんの最初へ 小悪魔と盲目なるワンコちゃん 2 小悪魔と盲目なるワンコちゃん 4 小悪魔と盲目なるワンコちゃんの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前