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小悪魔と盲目なるワンコちゃん
【大人 恋愛小説】

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小悪魔と盲目なるワンコちゃん-2

彼をちらり。
初見でもわかる特徴に、内心にやり。
ふふ、ワンコちゃんだ〜〜。
少し猫背がポイントの、がっちりした体を縮めながら、息を止めて返事を待っている犬顔に。
ちょっぴり小悪魔な気分。
「ありがとう。嬉しいけどあたし、あなたより年上よ?それでもいい?」
「えっ!?」
わざとゆっくり便せんを戻して、笑顔で応える。
な〜んか久しぶりだな、体の輪郭で波打つようなワクワク感。
胸のど真ん中で乱打するほどの、ドキドキ感はないけどね。
「あ、あの……いくつなんですか?」
「31」即答。
「えええぇえええ〜〜っっ!??」
「そんなに驚くこと?」
「だ、だって……年下かと思ってました!」
あ〜よく言われる。
あたしって、そんなに若く見えるんけ?童顔でもないのに〜。
目ん玉が飛び出そうな勢いで後ずさった彼に、にんまりしながら聞く。
「あなた、いくつ?」
「28です」
は〜〜ん、3つ下か〜〜。
うひひ、いじりがいがあるな。
「さて、ど〜する?こんなババアが嫌だったら、止めてもいいのよ?」
わざと挑発してみる。
いけねいけね、ついいつもの悪い癖が出たわ。
「大丈夫です!あなたさえ良ければ!」
一度離れた距離を、必死で縮めてくる彼。
ど〜しようかな?
シングルなあたしはもちろん彼氏も欲しいけど、男友達はもっと欲しい。
「じゃあ、友達でいいなら」



メアド交換して、しばらくはメールやり取り。
もし彼がワンコ気質ならば、今までの経験上、デートに誘ってくることはまずあり得ない。
あたしから誘うまで、けなげに待ってしまうのだ。
何故?
『嫌われたくないから』
これに尽きる。
いろいろ考えすぎちゃって、結局どう行けばいいのかわからなくなって勇気が挫折しちゃうのね。
あの告白だけで、いっぱいいっぱいだったもんな〜彼は。
女としては焦れったいけど、まあ、今んとこ相手を見極める上では御しやすいタイプかもね。
と言っても、メールだけで相手のことを知ったかぶりしちゃいけんけど。


言葉なんていくらでも飾れるけ〜。


んな訳で、もうすぐゴールデンウィーク。
そろそろ解禁してやっか。
「ねぇ、会わない?」



約束当日―――。
待ち合わせ時間に思いっきり遅刻な彼!
はい、大きく減点。
付き合い始めは、最初が肝心!
あたし、時間にルーズなヤツは大っ嫌いなのね。
遅刻してきた35分間に家でできる用事を挙げたら、キリがないわ!
それを悪いとか焦るとか、何の反応もない彼に。
ピ――――ン。
あたしお得意の分析力が冴え渡る。
はは〜ん。
結局、男の本性は会ってみなきゃわからんか……。
片道3時間のドライブ中に早速、彼にツッコミ開始。


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