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光の風
【ファンタジー 恋愛小説】

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光の風 〈貴未篇〉後編-14

「同盟設立だ。カルサ。」

貴未の言葉にカルサは微笑み、強く手を握り返した。

そして同盟が成立した。

「今からオレ達は対等だ。だからフェアでいきたい。。」

突然の貴未の提案にカルサは不思議そうな顔をした。二人の手は固く握られたまま。

「オレは今後、マチェリラと動く事にする。マチェリラの存在は隠しておくつもりだ。」

「分かった。」

「あと、オレの手の内は全てカルサに明かす。」

カルサは驚きを隠せなかった。

「お前の事情を知っているのにオレが隠すのはフェアじゃない。」

それが自分なりのけじめだと貴未は続けた。そしてウィンクをしてみせる。

カルサはそれに応えるように微笑んだ。

「行き着く先は一緒だ。付き合うよ。」

「ああ。」

カルサにとって、この上ない頼もしい言葉だった。この手の繋がりが強く感じる。

お互いに目を合わせ、確かな関係を感じていた瞬間。カルサの表情が一変した。

「貴未!!」

 貴未の背後から、黒く大きな手が貴未を捕えようと現れた。その邪悪な気配に気付き、貴未が目の端で確認した瞬間体が引っ張られた。

固く握っていた貴未の手をカルサが自分の方へと引き寄せる。急いで背後を確認すると、黒い手は空振り、ゆっくりと消えていった。

ゆっくりと穏やかな動きは強く大きな力を感じさせる。

「なんだ…あれは。」

まだ微弱だったのか、半透明の黒い手は余韻を残さず消えている。

あれは空間を裂き現れた手。そう頭の中によぎった。

「まさかヴィアルアイが?しかし、そんな力あいつには無いはずだ。」

その答えはおおよそ分かっていた。

「永の力だ…。」

その言葉に息を飲んだ。有り得ない話ではない、むしろそう考えるほうが自然だった。一気に不安と恐怖が頭の中を支配する。

時間は待ってくれない、一刻も早く動かなければいけない。震える貴未の手を繋いだまま、カルサは決心した。

「千羅、マチェリラ!いるんだろう?」

カルサが叫んだ瞬間、彼らは姿を現した。おそらく二人一緒にいたのだろう、タイミングは同じだった。

「貴未。」

マチェリラは直ぐ様、貴未に駆け寄った。千羅もカルサに近づく。


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