I MISS YOU U-2
「久しぶり!どぉしたん?」
かよがいつもより低い声で告げた。
「ゆき、今連絡取っとる男止めたほうかいいよ。知り合いからそいつらの悪い噂聞いた。」
一瞬、意味が分からなかった。
悪い噂って何?だって。電話だとあんなに優しいのに。すごくいい人なのに。
動揺を隠せない私はとりあえず理由を聞いてみた。
「噂って…何?」
かよが言う『噂』とはこうだった。
知ちゃんの周りは女を落とす事をゲームの様に楽しんでいて、女が自分に落ちるとゲームオーバー。
そこで恋愛ゴッコはおしまい。
手に入ったと思ったらすぐにポイ捨てされる。だから知ちゃんもきっとそうだろうと。
茫然と聞いていた私に、かよは最後に
「ゆきにはそんな思いしてほしくないから、ちゃんとそいつと縁切ってね」
と言い残して電話を切っていった。
信じられない。
だって、知ちゃんはそんな人じゃない。
きっと何かの間違いなんだ。
かよの助言を信じられず、モヤモヤした気持ちを押さえることができなくて、次の日に知ちゃんに直接電話で聞いてみることにした。
「ねぇ、知ちゃん。知ちゃんって、女の子ポイ捨てする?」
「へ?」
知ちゃんは訳が分かっていなくて、素直にかよから聞いた黒い噂を説明した。
一通り説明した後、覚悟して聞いてみた。
「んで、どぉなん?」
「そぉんな事考えとったん?そんなことした事ないし、ゆきの事大切にするし!」
どきっとした。
大切にするって、なんだか告白みたい。
友達は信用してる。
でも、知ちゃんも信じたい。
自分の目で確かめたかった。本当の知ちゃんを。私がドキドキした知ちゃんが本物なのか。嘘物なのか。
考えた末、決めた。
彼氏を裏切ることを分かっていて、自ら言ってしまった。
「知ちゃん。会わん?会ってみたい。」