年上の事情。‐8-2
「ごめんね、ありがとう。何か用があったんじゃないの?」
結局鳴海くんはウチまで荷物を運んでくれた。
「いえ、ただブラブラ散歩してただけですから」
「そ。じゃあよかったら、あがっていって。お礼にコーヒーでも飲んでいってよ」
窓を開けて、1週間空けた部屋のなかに空気を通す。
そして2人分のコーヒーを入れる。
「はぁ。やっぱ自分の家が一番だよね。落ち着く」
あたしは背伸びをした。
「あたしがいない間、何か変わったことなかった?」
あたし達はこの1週間の情報交換をしながらゆっくり、話をした。
「でも、五十嵐さんがいないと雰囲気が全然違いましたね」
「やっぱり?」
なんて、ちょっと嬉しい。
「はい、やっぱりボスがいないと」
「ははっ‥
あたしがいないときは香ボスがいるでしょ」
そう言ったときだった。
ピーンポーン‥
玄関のチャイムが鳴る。
「おっ。噂をすれば香ちゃんかな?」
あたしは持っていたカップをテーブルに置き、玄関へと向かった。
はいはーい
あたしは香ちゃんだと決め付け、確認せずに勢い良く扉を開けた。
「あっ」
「あっ、えっと‥
おはようございます」
驚いた。
そこに立っていたのは、立花くんだった。