年上の事情。‐7-1
朝、目を覚ますと隣には香ちゃんの姿があった。
そっか、昨日あのまま寝ちゃったんだった‥
それと同時に昨日の出来事を思い出す。
返事、しなきゃな‥
あたしは無意識に携帯を開く。
「先輩、なに笑ってるんですか」
「あ‥ううん、なんでもない。おはよ」
「ふぅーっ。じゃああたし、部屋戻って準備してきますね」
香ちゃんは伸びをして、ベッドから出た。
「うん、また後で」
あたしは再び携帯に目を落とす。
よし、今日もがんばろ‥
自分の気持ちにはなんとなく、気付いていた。
「おはよー」
出勤すると、すでに立花くんは机に向かっていた。
目を合わせようともしない。
昨日のことはなかったことに、ってことか?!
いや、よく見るとみるみる顔が赤くなっていった。
あたしは告られた相手にも関わらず、冷静に立花くんを観察できた。
まぁいい、就業後にちゃんと返事をしよう‥
「五十嵐っ」
「はい?」
「急なんだが、あさってから出張に行ってくれないか」
ほんと急ですよ、部長‥
「来月路面店がオープンするだろ、そこの内装をお前にやってほしいそうだ。ご指名だ」
「まじでっ?!行くっ行きます!」
やった‥
今まで手懸けてきた宣材写真やパンフが認められたってことだよね?
「先輩、すごいですね〜
おもしろそうだな、配置とか全部決めるんですよね」
「うん、でもすごい責任重大だよね‥」
頑張らなきゃ。
早速もらった資料に目を通す。