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ヲタク彼氏
【コメディ 恋愛小説】

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**掃除ロッカーからこんにちは**-1

どうも、初めまして。
私、渡辺日和(わたなべひより)と申します。
普通の公立高校に通う十六歳。

「ひよ、早く行こうよ!」

「えっ!??あたしは‥そういうの興味ないからいいよ。」

「何言ってんの!ほら、行くよ!」

「あぁー↓↓↓↓」


こうして今日も私は友人である優ちゃんに手を引かれ体育館へ…‥。

別に私は昼休みに体育館でスポーツに興じるほど運動が好きなわけではない。
そして優ちゃんみたいに昼休みに体育館でスポーツに興じる学園のアイドルに黄色い声援を送るのも好きじゃない。


「キャ――――!!瀬戸先輩カッコイイ――!!」


あぁ――‥‥
始まったよ。地獄の十五分間が‥‥‥。

そんなに大きな声で叫んだら、喉によくないですよ?そして私の耳にもよくないですよ。

瀬戸先輩とは
容姿端麗、頭脳明晰、眉目秀麗、才色兼備‥‥‥

要するにどこの学校にも一人はいるであろう学園のアイドル的存在なのである。少し茶色がかった柔らかそうな猫っ毛がフワフワにセットされていて、前髪の間から覗く二重の丸い目は時折、男を感じさせる視線へと変わる‥‥‥‥らしい。


何がいいんだか、さっぱり私には理解できない。
確かに瀬戸先輩はかっこいいと思う。でも私は‥‥。


「キャ―――!!ひよっ今の見た!???スリーポイントだよっ!!!超ヤバい!」


ヤバいのは優ちゃんの声だよ。そんなに叫ぶとガラガラになっちゃいますよ?


チャイムが鳴って、授業が始まって、またチャイムが鳴って‥‥それを数回繰り返した放課後。

私は放課後はいつもの場所へ向かう。別に私しか知らない特別な場所じゃない。と言うよりただの廊下。
特別教室しかなく、放課後はめったに人が通らない。いつもその廊下の行き止まりの末にある扉の下の三段しかない階段に座り、長い長い廊下を眺めるのが日課なのである。

正直、自分でも放課後一人でこんなことして淋しい人間だと思う。でも誰にも咎められないし、何よりここに座っているのが好きなのである。


そして今日も階段に座って、長い長い廊下を眺める。
いつも通りの廊下。

いつも通りの景色。


‥‥‥ん?

‥‥‥あれ?

こんなところに掃除ロッカーなんてあったっけ?
誰かが設置したの?でもここは確か教室の掃除用具使ってなかったっけ?


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