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結界対者
【アクション その他小説】

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結界対者・終章-22

『イクト君、セリをお願いね』

 サオリさん……

『頼んだぞ、イクト君! 君がセリを助けるんだ、君にしか出来ない、君だけのやり方で!』

 樋山……

「間宮! 返事をしてくれ、俺が解るか!」
 力の覚醒、肉体と精神の崩壊……
 ふざけるな! そんなのあってたまるかっ!

「ひ…… 柊?」
「間宮! 俺だ、解るか?」
「私……  私……」
「大丈夫だ、落ち着け!」
「駄目…… 私…… 」
「間宮!」
「私…… 怖いよ……」

 光が更に、強くなる。その中で間宮の、白く輝く間宮の、その頬に一筋の涙が伝うのが見える。

「間宮……」

 このまま間宮が消えてしまう様な、そんな感覚が不意に胸を締め付ける。

「大丈夫だ、俺がいる」

震える手を握り、そのまま引き寄せ、思わず抱き締める。

「俺が、ずっと、そばに居てやる、だから……」
「ひ…… い…… らぎ……」





「恐く無い、もう大丈夫だ」





 光は更に烈しく、間宮が何処に居るのか、自分の体が何処にあるのかも解らなくなる程に、全てを飲み込み、全てを埋めつくしていく。
 そして、俺は次第に何も考えられなくなって、そのまま…… 薄れゆく意識のまま、光の渦に身を任せた。





 目が覚めると、俺は教室に居た。しかも午前中の、二時間目の休み時間の教室だ。
 そう思う事に理由はない、ただ当たり前のようにそれが実感として頭の中にあるのだ。

 酷い夢だったな……

 そう、先ほどの授業中、俺は不覚にも居眠りをして、かなりハードな夢を見た。いや、最後の方のはそうでもなかった気もするが…… まあ、いい。とにかく、目が覚めた時には休み時間になっていて、その夢の余韻のせいか、なんとなく力が抜けた様に、ボンヤリと席に着いたままでいた。

 あのまま、間宮と俺は、どうなっちまったのかな……

 そんな事を考えながら、何気無く教室の中を見回す。と、その時、特に授業の予定の無いバカ元が、教室のドア越しに神妙な面持ちで、俺に視線を向けながら、小さく手招きをしている事に気が付……

 って、あれ……?

 これ、この場面! 俺は前にも、出会した事がある。そうだ、馬鹿本が間宮が消えたって…… それで、この後で馬鹿本は死んじまうんだ!


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