FULL MOON act3-2
不意に彼が私の股間を触り、私のは溢れるほど潤っていたのを知る。
「んっ…」
右手で胸をまさぐり、左手で股間を撫でられ、唇では耳を愛撫している。
クチュ、チュ…
彼は耳元で囁く。
「抵抗しないの?」
「しま、せんよ…」
「残念。手首、縛りたかったのに。」
…この人は、本当にこんな人だったのか。
初めて体を重ねた時は、酔いもあり、記憶が曖昧だ。すごく気持ちよかったのと彼の挑発的な言葉と、香りしか覚えていない。
「…高坂さんが、そんなこと言うなんて想像出来ませんでした…」
彼はうつ向いて、私の頬にキスをした。
「…安西さんにだけだよ」
……………ヤバい。
かっこいい…
反則だ。
彼のゆるい股間への手がもどかしく感じ、もっと、触ってください、という。
「やっぱり、えっちだね。安西さんって。でも、何があったのか言わないと教えないよ。」
そんな。
彼はその間にもゆるく股間をなでる。もっと、もっとつよく。
ふ、と彼の優しさを感じた。わざと彼は私に言いやすい環境を作ってくれたのかもしれない。
私はすんなり口にだす。
「元カレからメールがきました。」
彼はぴたりと動きをとめた。
「なんて?」
「あ、あいたいって。」
「返信、した?」
「まだ。」
無言で彼は手元にあるケータイをとる。
「この西野ってやつ?」
「…うん。…あ、なにやってるんですか!?」
カチカチと何かをうっている。素早くぶんどるも、既に送信されていた。
「なんて送ったんですか…。」
「見ればいいじゃん。」
最低。最低だ。高坂さんがこんなことをする人だとは思っていなかった。バカ、とか送ったのかな。なんて幼稚な。みそこなった。メール送信ボックスを開く。
「――えっ」
『いいよ、会おう。』
「な、なんで…?」
高坂さんは少し悲しそうに笑いながら言う。
「わだかまりがあったままじゃうまく付き合えないから、会ってきて、選んで。」
私は思わず、泣いてしまった。優しいなぁ。なんて優しいのか。
「…ありがとう…ございます…」
けれど結局彼はSなのだ。
「今日は俺を忘れられないようにするから。」
パンツの上にそえただけの指を素早くいれた。