Authorization Lover-VOLUME8--4
泣いてすっきりしたのか雛菊はさっぱりした顔をしていた。
…心のうちも。
「ありがとう、修平。なんか勇気出てきた。」
「それは良かったです。」
修平は微笑んで、雛菊の頭を撫でた。
「…また話してみるよ。銀と。」
雛菊は、ポツリと修平に聞こえないくらいの声で呟いた。
修平は聞こえたか聞こえなかったかの素振りは見せず、疲れたように背伸びをした。
「さぁって。俺は修羅場の企画に戻りますか。雛菊さん目が赤くなくなったら戻った方がいいですよ」
修平は、最後ににやっと不敵に笑って部屋から出ていった。
「ばーか」という声を背に聞かせながら、修平は、その部屋を後にした。
これでいい。
自分は報われなくてもいい。
ただ、雛菊は笑っていて欲しい。
柴田燕の時のようにはならないで欲しい。抜け殻のようになり、自分を責めてばかりな雛菊は見たくない。
企画室からは街の喧騒より、煩い声がする。
これが俺の職場だ。
雛菊さんの笑顔が見たいっていうのも大事なモチベーションだろうか。
修平は微笑みながら、部屋に入って行った。
「アンタどこ行ってたの!!」
「ぐふっ!」
部屋に一歩踏み入れた瞬間、七緒から会社四季報を顔に投げつけられた。
「キャー!佐々木さん倒れちゃいましたよ!」
「知りません。」
…モチベーションは上がる…かな?
第九話に続く