Authorization Lover-VOLUME7--1
他人に見せたい自分を装っているのに、他人はそれを見てくれない。
他人は自分が知らない自分を見続けている。
そんな世界は息がつまりそう。
それでも世界を有るが儘に受け入れることはできる筈。
曇りのない目で、歪みのない世界を見つめるの。
素直な心で尋ねれば、世界はきっと語りかけてくれるわ。
ね、そうでしょう?
「大好きよ」と素直に銀に伝えれたのはいつまでだったろうか。
中学までは事あるごとに大好き、と告げていた気がする。お風呂はいつも一緒。勿論、寝るのも一緒。山本のおじが呆れるほど、雛菊の生活の大半は銀と共にあった。
中学に上がると、雛菊の胸は膨らみ、幼いながらも美しさを持つ女になり、銀は背のスラッと高い綺麗な美少年になっていた。
その頃から、銀の雛菊に対する態度が変化してきた。
お風呂にも一緒に入らなくなり、雛菊が腕を組もうとするとパッと腕を払う。
雛菊がそのときに、悲しい顔をすると、銀もその後死にそうなくらい辛い顔をした。
何がどうなってるのか雛菊には解らなかった。
ただ不安でいっぱいだった。
山本のおじに尋ねても「年頃だでしょうがない」と苦笑いしながら答えるだけで、明確な答えはくれなかった。
そんな時だった。男友達が多い女友達に相談して、助言されたのが「ヤらせれば優しくなる」だった。
「何を?」
助言されて思いつかなかった雛菊は、首を傾げた。友人はフフッと笑って雛菊の胸をつつく。
「せっくす。」
「はぁ?!」
雛菊は、目を丸くして、友人を凝視した。
雛菊は、自分が呼び出した喫茶店の冷房が弱まった気がした。事実はただ単に、雛菊の体温が上がったのかもしれないが。
「結婚するまでそんなのしたくないよ…」
雛菊は顔を真っ赤にしてうつ向いた。友人はフーッと息をはいて、着色された髪をいじる。