Authorization Lover-VOLUME7--3
「…手伝ってくれるん?」
「みっ、味噌汁が飲みたいだけよ!」
雛菊はフンッと鼻を鳴らしてから、冷蔵庫から大根を出し、皮を剥いてから擦り卸す。
銀はクスクス笑いながら肉に大葉と切った茄子を巻いていった。
30分後ご飯は出来上がった。「頂きます」といい、二人はご飯を黙って食べ出す。
そうしてしばらくした後、思い出したように、銀は箸を止めた。
「そうや。風呂さっきお湯はったから沸いとるで食べ終わったら先入り。」
「うん…」
雛菊は、目を合わさずに返事をした。その様子に苦笑いしながら銀は頭を掻き、また食べ出した。
「お先…」
「おう。」
銀は野球中継からチラリと目を放して、雛菊を振り返って頷いた。銀は、雛菊が風呂に入っている間にテレビで野球を観ていたようだ。すっかり夢中だ。
おやすみを言ってそのまま寝ようとしたが、雛菊はやっぱり気になって銀に尋ねた。
「銀…」
「ん〜?」
今良いところなのだろう。テレビに夢中な銀からは、うわの空な答えが返ってくる。ソファが軋む。
「ねぇ…銀もせっくすしたいの?」
「はぁ!?」
銀は驚いて、勢いよく雛菊を振り返った。雛菊は少し眉を寄せて繰り返した。
「だから…せっくすしたい?」
「だから何でそうなるんや?!」
雛菊は、今日、友達から助言された事を銀に説明した。
話し出していくと、しかめっ面をしていた銀の顔は呆れたものに変わった。
「アホくさ。何阿呆な事吹きこまれてんねん」
「だって…!」
雛菊は上目使いで目をうるませた。思わず銀の心拍数が上がる。
「銀に少しでもあたしの事好きになって欲しかったんだもん!」
気付いた時には唇を合わされていた。
触れるだけの、唇が合わさるだけのキス。
だが、雛菊の頭が真っ白になるには充分だった。