Authorization Lover-VOLUME7--2
「…アンタ市井と仲直りしたくないの?」
「したいよ!」
「だったら…しなさい。雛菊だったらすぐに陥落するって」
友達はカラカラ笑う。
「そんな…」
雛菊は途方にくれた。
その後、友人と別れ、トボトボと帰路につく。言われた事を考えて、雛菊はポツリと呟いてしゃがみこむ。
「どうしよう…」
「何が?」
ふと顔を上げると、いつの間にか、スーパーの袋を二つぶら下げた銀が、目の前に立っていた。
「わっ!…銀。」
雛菊はさっと立ち上がった。急に立ち上がったせいかクラリとする。
「何やっとるん?」
銀は呆れながら、雛菊の腕を掴んだ。
切ないくらい、胸が鳴る。
「あ、あれ今日はじぃちゃんがご飯当番じゃなかったっけ?」
雛菊は胸の動悸を押えながら、不思議そうにスーパーの袋を指さす。銀はそれを呆れた顔で見た。
「何言うとるん?じぃちゃん用事あるゆうて今日は帰らへんやろ。」
「え、そうだっけ?」
「そうだっけやないわ。朝なんべんもゆうてたやんか。
さ、はよう帰るで。一個持ってや」
銀は、袋を雛菊に一つ差し出した。顔を少ししかめて、雛菊は袋を受けとる。
「女の子に荷物持たせるの?」
雛菊は、プウッと頬を膨らませる。
「両手ふさがっとったら手ぇ繋げへんやろ。」
銀は、そういって雛菊の手を掴んで歩き出した。
久しぶりだな。
手繋ぐの。
そう思って銀にそう尋ねた。銀は苦笑いしながら雛菊を見た。
「そうやっけ?」
「そうだよ!…嫌いになったのかと思った。」
雛菊は泣きそうになるのを堪え、うつ向いた。銀が困った顔をしているのはわかっている。手から力が抜けてるのを感じたからだ。
会話は途切れ、それからは無言で家に帰った。
家に着くと銀は袋から茄子と豚肉と大葉を出し、台所を占領し出した。雛菊はぼそりと「男子厨房に入るべからず」と呟いてから鍋に水を入れて火にかけた。