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甘辛ニーズ
【コメディ その他小説】

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甘辛シロップ-6

 さて、改めて

 先程、私のせいで十分近く気絶していた女性は………信じられないのですが
 この家のお手伝いさん、いわゆる『家政婦さん』らしくて、長年務めているとか。

 まさかあんな可憐な女性が…いえ…普通かもしれません。
 噂では、父君と二人暮らし…そう言ってたんです、雇ってもおかしくないですね。


 無駄な音を立てずにふわりと差し出される、薔薇飾りのティーカップと、
 香ばしい数多の菓子が乗せられた白銀のプレート。

 完璧に来る家を間違えましたね…これは。
 家政婦と言うよりも、メイドじゃないですか?

「はい…アッサムティーと、イタリア産仕込みのバニラクッキーです。 是非お召し上がりになさって下さい」
「えと…恐縮、です」
「…敬語じゃなくてもいいですよ?」

 ……あ……
 今、笑ってくれました。 クスッ…って。

 …なんだか
 心が晴れました。


「失礼ですが、お幾つですか?」
「今年で22です」
「にじゅう…ほ、本当ですか? まだ全然…17くらいにしか見えませんけど…」
「…ふふ。 17ではわたくしの職業は難しいかと」
「そうですよね。 ってことは…あの、またまた失礼なことを申しますが、ご結婚なさって…ますか?」
「んー…と…結婚はしてるものの、恥ずかしながら、別居中でして」
「あ……野暮なことを…すみません」
「いえ…そういう理由ではないですから、そんなに恐縮なさらなくても…」
「は、はい…。
あ、あと頓に問いますが、お名前は…?」
「未だ申してませんでしたね。
宮藤 聖奈(みやふじ せいな)です」
「聖奈さん…改めまして、秀麻 凪です。 今後とも、宜しくお願いします」
「ええ…" Io sono contento per essere capace incontrarla "」
「…へ?」
「あっ………な、凪さんの様な女性に出会えて、私は嬉しいです」
「…はい」


 プレート上に置かれた星形のクッキーを一枚手に取り、三分の一ほどの面積分だけ囓る。
 形が割れ、小気味良い音が鳴った。 舌に触れると味覚が働き、味蕾は甘味一杯。

 口直しとしてカップに口を付け、アッサムティーを少量飲む。
 ─こくん。 白く濁る液体はまろやかな味わいを残し、喉を通っていく。

 ティータイムを楽しみつつ、聖奈さんと談笑。
 本来の目的? そんなの知りませんよばーかってくらい楽しいです。

 …本来の目的…。


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