投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

ベルガルド
【ファンタジー その他小説】

ベルガルドの最初へ ベルガルド 6 ベルガルド 8 ベルガルドの最後へ

ベルガルド〜アーレン城内侵入〜-4

「間違いないな。ここが魔族の研究をしてる研究施設だ。しかもアーレン国直営のな。」
「まさか城内にこんな施設を作っているなんて・・・」
「ここらにある装置から魔力を感じる。この火事は同族の仕業じゃなかったってことか・・・?」
「ベル!あそこに人が!!」
「!?」
そこには二人の男がいた。
この研究施設の研究者だろうか、白衣の男が一人、血の海に横たわっている。
そしてそれを上から眺めるように見ている男が一人。
その男は黒髪に黒い目をした180cmくらいの長身で、漆黒のコートを着て、フードを深く被っている。
わずかに覗いた鋭い目元からは、笑っているのか泣いているのか、表情すら読み取ることができない。“無”そのもの。
ベルガルドとカイは息を呑む。
「そいつ、お前が殺したのか?」
ベルガルドは漆黒の男に尋ねた。
「この学者は、生きとし生けるもの全ての敵。だから殺した、それだけのことだ。」
その声は低く、しかしはっきりと響く。
「よく話は見えねぇけどなぁ、このまま逃がすわけにいくか!!」
ベルは漆黒の男に猛スピードで向かっていく。
そのとき。
漆黒の男のそばにある窓がはじけるように割れ、破片がベルガルドを突き刺そうとするように一斉に飛んだ。
「ベル危ない!!」
カイがとっさにバリアを張ると、ガチガチとバリアにぶつかり、破片は床に散乱した。
もう一度漆黒の男のほうを向いた時には、もう、その姿は消えていた。
「今の男・・・魔族?!」
「わからない。少なくともあいつ自身からは魔力を感じられなかった。」
「とにかくここから出よう!ベル」
二人は炎を上げる研究所から出てきた。バリアで守られているとはいえ、カイは腕に多少の火傷を負ったようだ。
ベルガルドが火傷に気づくと、「王様に怪我させるわけにはいかないからね」と言って笑った。
頼りないように見えて、仕事はしっかりやる、というのがカイの流儀らしい。
研究所の周りには、城に仕える者や白衣を着た研究者が集まって、火を消したり何が起きたのか調べていた。
端の方で突っ立てる二人に男が話しかけてくる。
「そこの二人、中で何があったのか話を伺いたいんじゃがよろしいかな?」
二人が顔をあげると、甲冑を着た初老の男が立っていた。髪もひげも真っ白で、ごつい甲冑とはとても不釣合いに見える。
ベルガルドは少し考えたような仕草をした後、返事をした。
「まぁ話してもいい。ただし、女王の同席を希望する。」
ベルガルドは決して下手に出ることはなく、譲らない態度でその男に答えた。
初老の男は、この赤髪赤眼の少年の気迫に驚きながらも、二人を連れて城の中へと入っていった。


ベルガルドの最初へ ベルガルド 6 ベルガルド 8 ベルガルドの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前