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ベルガルド
【ファンタジー その他小説】

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ベルガルド〜アーレン城内侵入〜-3

『―アーレン国市街地』

アーレン国の市街地を循環している馬車に乗ると、国境から30分ほどで中心地まで行くことができる。そこには大きな広場があり、その広場の中央には噴水で水遊びをする子供達、その周りには様々な屋台や出店がでており、多くのヒトが行き交いとても活気がある。
家屋や町並みもレンガで統一されており街全体が一種の芸術のように綺麗に整備されていた。
「驚いた!これほど栄えているなんて知らなかったよ!!」
「あぁ、確かに。この国の王はなかなか趣味がいいな。」
二人はその広場を眺めながら、ヒトの暮らしている様子を目に焼き付けた。
「なんかさ、こうしているとどうして魔族とヒトは争っているのかなって疑問になるよ。」
ベルガルドは少し間をおいて答えた。
「争っているというよりは、ヒトが魔族を恐れてるんだ。確かにヒトからしてみれば、強大な力を持つ俺たちは恐怖そのものだろうからな。」
「だから、僕たちに対抗できる兵器を開発しているのかな?」
「そうだろうな。俺たち魔族の気分次第では、ヒトはあっという間に絶滅する。その脅威に備えるのは当然のことだろう。それに・・・」
「?」
「長い歴史の中で魔族がヒトを支配しようとしていた時代が現にあったしな・・・」
「ベル・・・父上のことかい?」
ベルガルドはその質問には答えず、沈黙した。
「今はベルが王なんだから、望むままにして欲しい。前国王に逆らう所業だとしても僕は命ある限り、ベルガルド王に従う。」
金髪蒼眼の青年カイは迷いも見せず、ベルガルドの背中を押した。
「ああ・・・そんな当たり前のこと今更言うな。」
その一瞬カイは久しぶりにベルガルドの心からの笑顔を見たような気がした。
しかしそれも、遠くから発せられた言葉で消し去られてしまった。

「魔族がいるらしいぞーーっ!!誰か、役人を呼べ!!!」

広場は一瞬、しんと静まり返ったかと思うと。皆、次々に騒ぎだした。子供は泣き叫び、我先にとその場から逃げようとしているものもいる。
「え・・・?僕たち、もしかしてバレた?」
カイがおろおろとあたりを見回している。しかしこちらを見ている者は誰一人いない。
「いや、違う。風上の方に魔力が集まってる!どこぞのバカが騒ぎを起こしてるらしいな!」
二人は風上に向かって走りだした。
「ベル、まさかラルフじゃない?アーレンにいるんじゃなかった!?」
「あいつはそんなヘマはしない、もっと、違う何かだ!」
そのとき突如爆発音が聞こえ、右手のほうから煙があがった。
「くそっ、カイこっちだ!」
「ベル!こっちの方角ってもしかして・・・」
ベルガルドがふと顔を上げると、アーレン城が目に入った。大きく開かれた城門から中の様子が見える。本城の少し外れにある真っ白で頑丈な建物から煙があがっており、中から続々とヒトが逃げ出してきている。城門に見張りはいない。
「え?まさかアーレン城に魔族が!?」
「いや・・・これは・・・」
「どうする?ベル!?」
「アーレン城に侵入できる機会を逃すことはない!入るぞ!!」
「・・・だよね、やっぱりね・・・」
カイはしぶしぶという形でベルガルドの後に続く。
アーレン城の敷地内に無断で入っても、この状況で止める者は誰もいない。二人が白い建物に入った時、中は火の海だった。
カイはすぐさま胸元で手を合わせる。すると両手が青く光を帯び、勢いよく目の前にかざすと、薄いバリアが現れ、二人を火から守った。
「よし!このまま進むぞ」
バリアを盾に進んでいくと試験管や、何に使うかわからないような器具、コンピュータなどが所狭しと並べられていた。


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