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水泳のお時間
【その他 官能小説】

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水泳のお時間-1

「もうすぐ水泳の授業が始まります。期日までに水泳道具などきちんと揃えておくように」


季節は6月…
夏も目前に迫り、友達はみんな大はしゃぎ。
だけどそんな周りとは対照的に
わたし桐谷知鶴(キリタニ チズル)は数週間後に控えたプール開きを前に、ひどく落ち込んでいたんだ。

「はぁ…」
「桐谷、どうした?」
「せっ、瀬戸くん!」

しばらくプール開き関連のプリントを見つめてボンヤリしていると、突然同じクラスの瀬戸くんに話しかけられた。
とっさに顔をあげてみると、瀬戸くんの顔がすごく近くにあって、思わず心臓がひっくり返りそうになる。
それでも瀬戸くんの顔はどんどん近づいてきて…!

ま、待って!瀬戸くん!
顔近い!近いよぉ…っ!!

「ふーんプール開き?そういやそんな時期だな」
「え?あ…うん…」

そう言うと、瀬戸くんはヒョイッとわたしが持っていたプリントを取り上げてしまった
それを見て、わたしはポカンと口を開ける。
あ、あれ?
もしかして
顔が近かったのは、わたしの持っていたプリントを見ようとしていただけ?

「な、なんだぁ…」
「ん?どーした?桐谷」

ベタな結末に、ちょっぴり拍子抜けしてしまったわたし。
その横で瀬戸くんは何も気づいてない様子で、こっちを見つめてる。

そうだよね、瀬戸くんにとっては私なんて、ただのクラスメート…。
率直に言ってしまえば、同じクラスにいるうちの「女子」
それぐらいにしか思われていないんだ。
最初から分かっていた事なのに、わたしってば一人で意識しちゃって恥ずかしい…

「な、何でもないよっ」
「あぁ、わかった。桐谷は泳ぐの嫌なんだろ?」
「えっ?どうして分かったの?」
「どうしてってさぁ、桐谷…おまえ一年んときから泳ぐの遅くて毎回ビリだったじゃん。俺見てていつもハラハラしてたんだからな」

うそっ…?!ほんとに?
そんなところ瀬戸くんに見られてたの?
やだっ…恥ずかしい…っ
恥ずかしすぎるよ…っ!!

「なんなら、俺が教えてやろっか?」
「えっ」

今すぐにでも穴に入りたい気持ちでいると、隣にいた瀬戸くんがサラッと流すように言った。
その言葉に、わたしはエッ?と顔をあげる。

「お、教えるって?」
「だーかーらァ、俺が教えてやるよ。泳ぎ方」
「い、いいの?」
「桐谷が、よければだけど。ダメ?」

瀬戸くんの言葉に、わたしは慌てて首をフルフルと横にふる。
そんな…!
ダメなんてそんなこと言うわけない!
だってあの瀬戸くんがわたしに…
わたしなんかに教えてくれるって!
夢みたい!
嬉しい!!


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