遠い約束-1
ずっとずっと昔の約束を、彼女は覚えているだろうか。
『さっちゃん、おっきくなったらボクのおよめさんになってくれる?』
『うん、いいよっ。』
何気無い会話の中に交した言葉。
きっと彼女にはどうでもよくて、ましてそんなにずっと昔のことなど覚えていないだろう。
だけど、俺にとってはすごくすごく大切な約束だった…。
笑って俺の名前を呼ぶ君の瞳には、俺はどのように映っているのだろう。
俺の目には彼女は特別に映る。
俺は、彼女を特別に思ってるから。
同い年で幼馴染みのさつきとは家が隣どうしで、小さい頃から仲良くしていた。
小・中・高と同じ学校に通う。
俺が彼女を好きだと気づいたのは、中学二年の頃だったか。
現在、高校二年。片想いして三年が経つ。
その間に俺と彼女との関係にどんな変化があったかと言うと、何もない。
小さい頃からの関係とずっと変わらないまま、俺達はただの「幼馴染み」。
さつきの両親は、今年の四月から一年間、仕事で外国に行っている。