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社外情事?〜気晴らしの酒と思わぬ睦事〜
【その他 官能小説】

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社外情事?2〜初めての合コンといきなりの告白-8

「…この際だ。もう二回程、デュエットをやろう」
そして笑みは、歌おうとする二人を羨ましそうに見る健介と哲也に気づいてから、苦笑に変わる。京香は二人が何か言う前に先んじて、デュエットの提案をした。
「はぁい!じゃあたし、健介君としたぁい!」
すかさず千奈が手を上げる。対して健介はにやりと笑い、「いいねぇ。じゃ、何歌う?」と問いかける。
「…では哲也は、不服かもしれないが私とデュエットだ。頼むから文句は言わないでくれよ?」
ビールを一口飲んでから、彼女は肩をすくめた。発せられたその言葉に哲也は、とんでもないとばかりに首を振る。
「いえっ!京香さんみたいな美人とデュエットできるのに、文句なんて言いませんよ!」
「そうか。そう言ってもらえると嬉しい」
どうやら哲也の言葉は、京香を大いに満足させたらしい。彼女は微かに嬉しさを滲ませた笑みで、腕を組んだ。
「…さて、しばらくは二人のデュエットを聞こうじゃないか」


――それから数刻。
合コンは終わり、男性陣と女性陣は別れ、誠司は一人帰宅の途についていた。

あれから、合コンは大いに盛り上がった。
誠司と湊のデュエットは、場における男女ペア――誠司と湊、健介と千奈、哲也と京香の組み合わせ――を確定させるきっかけとなった。それからは皆、それぞれの相手と積極的に話すようになり、最終的に全員が、再会の意図をもって互いのメールアドレスを交換する運びとなったのだ。
ちなみに誠司と湊は、京香によって半ば強引にメルアド交換をさせられている。だがそれがなければ、おそらく二人のメルアド交換はなかったであろう。何故なら誠司はメルアド交換など端から頭になかったし、湊はそれを言い出すのを躊躇していたのだから。
ともあれ、無事に合コンを終えた一同は、カラオケ店を出た所で男女に別れ解散。誠司は、「夜はこれからだ!」などと言いながら哲也を強引に連れて行く健介と別れ、駅へと向かっていた。

(…今日は、変に目まぐるしい日だったな…)
今日一日を振り返る誠司。
(いきなり課長になる事が決まったり…合コンやったり……)
彼は人気の少ないホームで、自分が乗るべき電車を待っている。
(…ま、今までが無さ過ぎたんだろうな)
苦笑。それから電光掲示板に目をやり、自分が乗る電車の来る時間を確かめた。
――どうやら後数分もすればやってくるらしい。
(…これから忙しくなるだろうけど、ないよりはずっといい…)
誠司は視線を前に戻す。その動作の間に、やっと仕事ができるようになるという思いからか、安堵の息が漏れた。

「誠司君」

不意に、背中から声がかかった。気を緩めていた彼はその声に、思わず飛び上がりそうになる。直後、彼はさっと後ろを振り返り、今度は目を大きく見開いてしまう。
「れっ、玲さんっ!?」
「ふふっ、ちゃんと名前で言ってくれるのね。嬉しいわ」
いつの間にか真後ろに、眼鏡を外し髪を下ろした姿の玲がいた。彼女は少し眠そうながらも、嬉しそうな笑みを浮かべている。
「でも奇遇だわ。君と同じ電車になるなんて……いつもこの電車なのかしら?」
驚いている誠司に対し、玲は社長室で見せた時と同様に親しげな態度で問いかけてくる。それには誠司も我に返る。
「…あ、いえ、いつもはもう少し早い電車に乗ってます」
「ふぅん…同僚と飲みに行ってた?」
「まあ、そんな所です」
「そう……よかった」
誠司の答えを聞き、玲は息をついた。
(…え?)
その息に含まれた明らかな安堵に、誠司の内に疑問が浮かぶ。
――彼女は今、確かに安堵の息をついた。しかもそれは、自分が同僚と飲みに行ったという事を言った時に吐き出されている。それは捉え方によっては、玲は誠司が女性との関わり合いがなかった事への安堵にとれる。
――仮にそうならば。
彼女が安堵するのは何故だろう。


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