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社外情事?〜気晴らしの酒と思わぬ睦事〜
【その他 官能小説】

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社外情事?2〜初めての合コンといきなりの告白-10

「…えぇっ?!」
突然の提案。誠司はその提案を前に、素っ頓狂な声を上げた。次の瞬間、彼は大声を出してしまった自分の口を押さえ、辺りを窺う。
さすがに大きな声を出せば、当然周りは注目する。しかし視線は、誠司のそれと合わさった途端、慌ててあさっての方向を向く。誠司は少し安堵し、しかしすぐに顔を引き締めて、玲に目を向けた。
「玲さん…何の冗談ですか?」
できる限り声を抑え、問いかける。対する玲はやはり眠そうではあるが、若干不機嫌そうでもある。
「…冗談、言わないわよ…実際、ここまでくると私、助けを借りて…やっとなのよ。だから…」
「俺に頼む、というわけですか…」
こくり、と玲が頷く。その動作と時をほぼ同じくして、誠司達が並ぶホームに電車が滑り込んできた。
少ない乗客の中から、更に少ない人数が電車を降りる。そして、降りた人数とさして変わらない程度の人数が、電車の中に入る。その流れに紛れて誠司は、腕にしがみついた玲を伴って電車に入ると、すぐに二人分の座席を確保した。
「…いいんですか、俺なんかで。もっと他の、仲の良い人に頼んだりはしなくていいんですか?」
座るなり、誠司は絡ませた腕をやっと解いてくれた玲に問いかけた。すると彼女は、更にむすっとした顔になる。
「…誠司君でないと、いけないのよ。眠くなったの…貴方のせいだもの」
――無茶苦茶である。しかし、誠司はそれを、仕方がないか、と割り切りつつあった。

玲は自分の勤める会社の社長。彼女を放っておいて何かあれば、こちらが責任を問われかねない。
それに、彼女には自身の危機を救ってもらい、有能と見て昇進させてくれたという恩義がある。それなのに彼女を放っておくのは、恩を仇で返すような気がして抵抗がある。

――つまり、自分は彼女の頼みを断るような立場にないのだ。
「…わかりました。送っていきます」
誠司は肩をすくめ、隣でやはり眠そうにしている玲に穏やかな目を向ける。
「…四つ先の駅。着いたら…起こして、ちょうだい」
玲は彼の目に、ようやく表情を和らげた。そして誠司の肩に頭を傾けると、それだけ言って目を閉じる。
(…眠いんだろうな…)
苦笑。誠司はその後で、先程玲が言った言葉を心の内で繰り返し、心の内で呟いた。

(……玲さんが降りる駅、俺が降りる駅の一つ前だったんだ…)

――どうやら、別に遠回りになるわけではないらしい。
――それから数十分。
誠司は玲に指定された駅で電車を降り、今にも眠ってしまいそうな様子で道案内する玲に従って道を歩き、目的地にたどり着いた。
「…ここ、ですか」

――誠司は、圧倒される。

そこは駅前。
最近、家賃や部屋の質が非常に高いとテレビで紹介された、一般人の手には決して届かないであろう高級高層マンションである。
(…やっぱりこの人、社長なんだ…)
今更のように、傍らで眠そうな表情をして自分にしがみついてくる彼女が社長だという事を実感し、その彼女に気に入られたらしい自分に疑問を持つ。
(…本当に、どうして俺はこの人に気に入られたんだろう…)
玲を気遣って小幅で歩きながら、誠司は大分前に浮かんだ自問を再び繰り返す。


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