旅立ちの日-11
「……頭イタイ…」
里香の一言に美那は、
「結構飲んだでしょう。すっごくくお酒くさかったもん。さっき窓開けたの。親にバレないように」
里香は両手で頭を抱えて、
「…ごめん……」
「それとコレ」
そう言って美那が手渡したのはスポーツドリンクだ。
「里香をここまで送った時に、一巳さんが私にくれたの。〈起きたら飲ませろ、後が楽になるから〉って」
里香は受け取るとキャップを開けて一口含んだ。スポーツドリンクの味はあまり好きではなかったが、美味しく感じる。彼女はそれを一気に飲んだ。
「シャワーも浴びなよ。お酒の匂いが消えるから」
里香は言われるままシャワーを浴びながら、改めて美那や一巳に感謝していた。
一巳は朝食を摂りながら何やら紙にメモしている。母親は不思議に思いその紙を覗き見ると、
「何それ?」
「何見てんだよ!」
一巳は慌てて紙を隠すと、食事をかき込んで自室に引っ込んだ。
ー翌水曜夕方ー
「今度は朝にしたよ」
土田の部屋で一巳が次のプランを伝えると美那が、
「里香ねぇ、この前の事すっごく喜んでたよ!」
そう言われて目を細める一巳。
「今度はオマエらも参加するんだ。特に美那ちゃん、頼んだよ」
金曜日の夜。里香は前回と同じように美那の家に泊まりに来た。
2人は近所のスーパーに買物に行くと、様々な食材を買い込んだ。
翌朝5時。美那の部屋にけたたましくアラームが鳴り響く。アラームを止めて起き上がる美那と里香。2人共、あまり目覚めが良くない。
「里香ちゃん……おはよ…」
「……おはよ……起きなきゃ…」
やっとの思いでベットから這い出し、ノロノロと台所に行くと美那の母親が忙しく動いていた。
それを見て驚く美那。
「お母さん!何してるの」
「おはよう。遅いからゴハンだけ炊いといたわよ」
「分かった。後は私達がやるから」
邪魔者扱いされた母親は〈はいはい〉と言って引っ込んでいく。