電車に淫れて Side Girl-7
電車がプラットホームに入り、男が、
「かわいかったよ」
そう囁いて、耳元にキスをした。
何か言おうと思うのに何も話せない。
ただ、開いたドアから人波に乗ってでて行く男を見ていた。
好きな人でも、彼氏でも、自分の意思でもなく。
あの男に、あの男の指に、イかされた。
もし…自分から受け入れれば、自分の意思で近付けば、
どうなるの―――?
人の出入りがなくなって、ドアが閉まろうとする。
千夜は欲望に動かされるようにして、プラットホームに下り立っていた。
男が見つかるか、見つからないか、それは分からない。
ただ、退屈だった毎日が変わる。
その確信はあった。