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難読語三兄妹恋愛暴露
【コメディ 恋愛小説】

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難読語三兄妹恋愛暴露~長男Ver.~-3

「ねっ♪」

「う、うん…」

その後、玄人は初対面の詩歌にブランコで吐くまで背中を押され、砂場に埋められ、縄跳びで鉄棒に繋がれたそうな…。




もちろん家が隣同士ならば小学校に上がっても腐れ縁は続く。
ある日、玄人が詩歌と一緒に帰ろうとすると同じクラスの女の子が

「玄人君、一緒に帰ろう?」

と走ってきた。

「ミホちゃん!うん、一緒にかえ」

「あのね!」

あの時のように詩歌がずいと前に出る。

「あたしも一緒でいいならいいよ?」

にこにこと笑うミニ詩歌。玄人が安心したのもつかの間、その帰り道、玄人はドブに落ちて(正しくは落とされて)ミホちゃんの前で大恥をかくことになる。




そんなことが続くもんだから、高学年に上がる頃には女の子が玄人に近づこうとすると、玄人の体が「キャーッ、この子が俺に近付いたら詩歌にイジメられるーッ」とでも言わんばかりに拒否反応を起こすようになり、いつしか恐怖心を抱くようになった。
例えば…。
小六の時の運動会では二人三脚の相手がたまたま女の子で、肩を組もうとした瞬間、意識を失って救急車で運ばれた。
また、中学校の卒業式で玄人の第二ボタンを狙う女子たちから逃れるため、体育館倉庫に隠れていたら、外から鍵を掛けられ、卒業したくせになぜか何時間も校舎内に留まるはめになってしまった。
一番の傑作は高三の時。
若い新任の女性教師が玄人を気に入り、受験生だということで放課後、勉強を見てくれることになった。玄人も教師だからと安心していたのに、とうとう五日目に迫られ、呼吸困難で死にかけた。
それなのに、こんな体質に追いやった張本人には免疫が出来てしまったらしく、詩歌だけはまともに接することが出来るというおかしな体になってしまったのだ。




ところで、『玄人』ってどういう意味か知っているだろうか。
何かが熟練しているプロや専門家のことをいうのだが、玄人はアタシが言うのもなんだけど正に『玄人』なのだ。
アタシの兄貴だもん、顔がいいのは当たり前。スポーツ神経も抜群で高校時代はサッカー部のキャプテンをやりながら、バレー部やバスケ部の助っ人なんかもしていた。その上、勉強も恐ろしいほど出来る。詩歌が前に言っていたのだけど、テストは常にトップで、2位になったのは例の呼吸困難事件があった直後のテスト一度きりらしい。
これだけ揃っていればモッテモテのウッハウハ間違い無しなのに、あの体質のせいで恋愛経験0。だけど、それを周りに公表していないため女の子達が群がる群がる。がしかし、まともに告られることも出来ず、さっきのように逃走劇を繰り広げ、詩歌に笑われるというオチをずっっっと繰り返していた。
全く…。
兄貴は人間としては完璧な『玄人』だけど、恋愛に関しては超ド『素人』のチェリーボーイなのだ。


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