Ethno nationalism〜長い夜〜-14
「さっ、ここなら良いだろう」
マッケイの言葉にキャロルは声をひそめて語った。
「〈ヤコブの弟子〉の件ですが……」
キャロルは、レイチェルから聞かされたままをマッケイに伝えた。
聞いたマッケイはアゴをさすりながら、厳しい表情で答える。
「分かった。しばらくはターゲットの情報収集を。その後、危険と判断されれば、〈ヤコブの弟子〉に任せる。我々は彼女を全面的にバックアップする」
「分かりました。グールにはそのように伝えます」
「頼む」
一転、キャロルはオフィシャルな顔をいたずらっぽいそれに変えた。
「これから懇親会ですか?」
対してマッケイは苦笑いを浮かべながら、
「仕方ない。これもビジネスの一環だからね。我々の〈カバー〉のためだ」
「でも嬉しそうですね。日本の女性は美しいですから」
覗き込むような眼で嫌味を言うキャロル。マッケイはフッと笑いながら、
「じゃあ頼んだよ」
マッケイは商工会のメンバーが待つフロアーへと向かって行った。
キャロルはその後姿をしばらく眺めていた。
…「Ethno nationalism〜長い夜〜」 続く…