手紙-2
いつから机に向かっていたのかも忘れてしまった。
机の上には一枚の写真。
笑っている、あの頃の僕ら。
ふと、自嘲気味に笑う。
君と別れた後、それでも僕は前に進んでいると伝えたくて。
手紙の書き方すらわからないのに、ちっぽけなプライドを見せたくて。
君がいなくても、僕は大丈夫だということを見せたくて。
ペンを置いてベランダに出る。
空はもう闇の色を濃くして、冬が近いことを教えてくれていた。
なんだか続きを書く気にはなれなくて、僕は冷え始めた空気に体を当てる。
君は、僕の知らない男の人と一緒になって。
手紙と一緒に届いた写真にあった君の笑顔は、僕と一緒にいたときよりも輝いていた。
君はしっかりと前に進んでいるのに、僕は今でも引きずっていて。
それでも手紙なんか書いて乗り越えたように見せている。
みっともなくて
情けなくて
誰かに叱ってほしくて
でも、誰も僕の気持ちを知らなくて
別れ際の君の言葉が今でも耳に残っている。