Authorization Lover-VOLUME5--5
「先にお話をそちらが頂いたのかもしれませんが、結局話が来たのは企画です。そちらが退くべきだと思いますけど。」
「なんやとぉ?」
理彩と七緒は一瞬即発だった。互いに火花を散らし、睨み合う。
それを止めたのは宣伝の重鎮、車野賢哉である。
「辞めろ、理彩煩い。とりあえず今日はKデパートの新規について話し合いにきたんだろーが。…で。どーしたいんだ、お偉いさん?」
サッと部屋の目線は、谷川に移る。会議室ににわかに緊張が走る。
谷川は息を吐いて、じろっと車野を見た。
「車野…俺はここに来たばかりでそこまで内部事情に詳しくねぇ。だが、なんで企画と宣伝が喧嘩になるんだ?ただ単に各々が別の仕事やればいいだけじゃねーか。」
言いながら、顔を見渡した。
「第一、二年前までは全く違う部所として成立してた筈だろ?部が機能していたみたいじゃねーか。違うか?」
谷川は諭すような口調で、皆を見回しながら言う。
車野は途端、失望したような顔をした。
「それは問題の解決にはなりません。」
「何でだ?」
「…郷には入れば郷に従えという言葉をご存知ですか?…とりあえず共同は無理なのでより良い方を選んでください。」
「あぁ…」
谷川は符に落ちない顔をしていたが車野の異様な剣幕に押されて、とりあえず頷いた。
椅子を下げ、立ち上がる。
「…まぁ…じゃあ解散で。」
「はい、失礼します。」
宣伝部はチラリとも、企画を見ずに部屋からサッサと出ていった。
「あ〜感じ悪い奴らですねぇ本当に!」
優希は歯ぎしりしながら、宣伝部が出ていったドアを睨んだ。
「この関係は修復不可能っすねぇ。」
「何他人事みたく言ってるのよ…。」
七緒は呆れたように修平を見る。
「本当に仲悪いんですね…びっくりしちゃいました。」
桃子は今起こった出来事に目を白黒させていた。
「まぁね。…まだ雛にはこうなった理由話してなかったっけ?」
雛菊は思案顔で桃子に問いかけた。桃子は首を横に振る。雛菊は溜め息をついてから続けた。
「実は二年前企画にはもう一人男性社員がいたのよ。その名前は……柴田燕」
銀。
別にあたしはあんたの事を嫌いになった訳じゃない。
ただ子供同士では恋愛は出来ないから。
今でもアンタの側にいないと不安になる。
だけどそれではもう駄目だと解った。
あの頃みたいに銀を無心に求めれない。
第六話に続く