仮面-2
「くそっ!」
夕方。図書館から戻った海人は自室に入ると、机にカバンを放り投げてベットに大の字になった。
明らかにイラついた様子だ。
(アイツ、何考えてんだ!おかげでこっちは勉強に身が入らないし……)
薫と図書館で別れた後、海人は勉強に集中しようとした。が、目の前で起こった事が頭から離れず、結局1時間ほど経った頃、諦めて帰って来たのだ。
再び脳裏に浮かぶ。
薫の指がなまめかしく擦っていくと、パンティは深く喰い込み濡れていくに従って、秘部が透けて見えるほどだった。
「くそっ!」
海人は勢いをつけてベットから起き上がり、階下へと降りて行った。
ー翌日ー
朝8時。100名は収納出来る視聴覚室は大勢の生徒が、教壇に立つ教師の話に聞き入っていた。
海人の通う高校には特別進学クラスがあり、8時からの授業を0時限目と称して行われていた。
薫はもちろん、海人も一応、特進クラスのため毎日ここから学校が始まる。
授業内容をノートにとりながら、海人は、いつの間にか前席に座る薫を見つめる自分に気づいた。
(何、やってるんだ。オレは)
振り払うように授業に集中しようとする海人。だが、結局は集中出来ずに薫を眼で追っている。
授業を終えて生徒達がわらわらと自分のクラスへ戻ろうとする。
「お前、昨日のはどういう意味なんだ!?」
教科書とノートをまとめていた薫に、海人が詰め寄った。
薫は上目遣いに海人を見据えると、ニヤリと笑った。昨日と同じように。
「来れば分かるわ……」
薫はそれだけ言うと立ち上がり、部屋を出て行った。海人はその眼に射すくめられたのか、姿だけを追って動けないでいた。
夜。塾を終えて帰宅した海人。
遅い夕食と風呂を済ますと、自室でくつろいでいた。
しかし、いつの間にか薫の事を考えていた。
艶やかな髪、制服の上からでも分かる膨らみ。スカートから伸びる白い脚。そして、以前は嫌悪していたセルフレームのメガネの奥に見える冷ややかな瞳。
あの日以来、海人の心を薫が支配していた。
「う…ん…」
海人はすでに熱く固くなった自らの剛直を握りしめ、自慰にふける。
薫の姿を脳裏に浮かべながら、擦る手の動きが徐々に増していく。
「あっ!お、岡野ォ…ああ…」
海人の中で、薫への気持ちは大きく変化していった。