恋愛模様〜ラブレボ〜-6
フワ…と、振り向き様、『図書委員』はその鉄拳を優雅にかわし、奈都を抱えたまま、リーダー格の顔面を今度は靴底で蹴り上げる!ゴキュッ!
そいつは、再び宙を舞い崩れ落ちて、そのまま動かなくなった。
靴底の主は、低い声を落とす。
「僕は、佰路高の烏丸だ。用があるならいつでも来い。相手をしてやる…。」
そのまま五良は、出て行く。
呆然と見ていた男達は、今度は愕然とした。「佰路の烏丸…。噂通り、強ぇ…!」
「無断で噂すんじゃねぇよ。」
五良はセリフを捨て置いた。
五良は、自分の部屋のベッドに眠っている奈都を見つめていた…。
〈間に合って良かった〉
あのまま…間に合わなかったら…。ゾッとする。
〈クソ…あの場にいた全員、絞めとくべきだったな〉
サラ…
奈都の髪を撫でる。
「ん…。」
ふ、と奈都の瞳があく。
「あ…。気が付いたね。大丈夫か?」
撫でていた手を慌てて引っ込める。
「ここ…?」
奈都はまだ半覚醒だ。
「気を失ってたからとりあえず、あそこから近かった僕の家に運んだんだ。」
奈都は、五良の存在を確かめる。
「…! 図書委員さんっ。夢じゃ、無かっ…ひっく。助けて…くれたっ、えっく。」
途端に奈都は、涙腺が決壊した。
「もう大丈夫だから…。助けるのが、遅くなってごめん…。」
五良は、奈都を抱きしめたかったが、自分の手や腕が、先刻の男達を思い出させる可能性があるので、触れられなかった…。
「怖かった…。うぇっ。…っくっ。」
きゅ…。胸が締め付けられる。
〈この気持ち…。図書室で初めて、視線を交した時から生まれた気持ち…。なんて言ったらいいんだ…〉
五良は胸の奥に熱いモノを感じていた…。
「…えっく…。あの男…達に触られた時っ吐き気がした。ええ・ん。で、もゴローさんが」
ドキン…奈都に名を呼ばれて、胸が鳴る。
奈都は起き上がろうと手を差し出す。五良は、優しく手を包み込む。
「僕も、あいつらと同じ男だから…。君には触れない方がいいけれど」
「ゴローさんに抱き上げられた時…嫌じゃなかったの。」
ドクンッ。二人は見つめあう。手を握りしめ動かない。
お互い見つめあったまま―。
ポロ…。奈都の頬に真珠の粒が伝う。五良は堪らず、伝う涙に口付けた。
ビクンッ
「ん…。」
奈都の身体が、反応する
「…触れない方がいいけれど、ごめん。君を抱きしめたい…。凄く抱きしめたい…。」
奈都を凌辱しようとした輩と、僕も同じなのか…。五良は、理性と欲望の間で葛藤していた。
奈都は、
「優しく…お願いシマス」
おずおずと、五良の広い胸板に身を預ける。
「…判った、失礼します。」
五良は奈都の華奢な身体を優しく抱き寄せる。クニャ…。
〈やっぱり…すごく柔らかい〉
五良はゆっくりゆっくり、奈都の背中に腕を回して…全身を強く、優しく抱きしめた。
トクン。トクン。お互いの鼓動を感じあい、落ち着いていく。
〈愛しい…。愛しい、存在だ。〉五良は自分の心の中に芽吹く感情を理解していた。
きゅ…。いつの間にか、五良の腕の中に身を委ねたままだった奈都の手が、五良の背中に回されている。
ドクッ!ドクッ!
五良は胸の奥の熱いモノが、自分の下半身に集中していくのが判った。
〈ヤバい…!起つ!〉一度反応してしまった五良の逸物は、グングン大きくなる。奈都にも気付かれてしまうだろう。
「すまない…。僕もあいつらと同じ、だな。」
苦笑しながら、腕の中の奈都を見下ろす。
「違います…。いつも私を優しく、包んでくれるもの。私…私。」
上を向いて見つめる奈都の潤んだ瞳を見た、五良は―
プツン
理性の弾ける音が、聞こえた。
「好きだ。」
「私…もっ。んっ!」
堪らず、五良は奈都の唇を奪う。
「あんっ!私も好きぃ」
ドサッ!二人はきつくお互いを抱き締めたまま、ベッドに沈み込む。
クニャリ…。五良の舌が、奈都の舌に絡まる。
「…っはぁ!オ…レも好きだ。ん、奈都っ!」
息が出来ない程深く、濃いキスを何度も、何度も交わす。