恋愛模様〜ラブレボ〜-10
かくん。
そのまま、腰が抜けて奈都はその場にへたりこむ。
「きゃっ!ちょっと、奈都!大丈夫?」
美希が慌てて、支える。奈都の周りが、騒然となった。
―そして五良は、恋愛革命を起こす。
壇上の五良が、それを見逃す筈もなく―
『奈都!!!』
愛しい名を五良は、叫ぶ。しかも、マイクを通して。
シ――――――――ン。ざわめいていた、体育館が一気に静まる。
生徒総会だけに、佰路高全生徒、全教職員がその場に居る。
五良は、舞台上からヒラリと飛び降りると、奈都の元へ駆け寄った。
今や、その場にいる全員が五良の一挙一動を見守っていた。
ダウンしている奈都の傍に屈むと、そっと五良は、奈都の額に手を当てた。
「熱いな。昨日遅くまで無理させた所為だな。」
奈都の周りに素早く駆け寄っていた、緑里・美希・千遥の3人は、有り得ない展開に驚きつつも、
「奈都は、私達が保健室に運びます!何か昨日あったんですか…。朝からこの子おかしかったんです…!」
奈都の朝からの変調を親友達は、見逃してはいなかった。
「君達の大切な友達に、僕は昨日お世話になったんだ。それで熱が出てしまったようだ。すまない。奈都は、僕が保健室に運ぶよ。」フワリと、奈都をお姫様抱っこする。
圧倒されて見送るだけの緑里達だが、ハッと我に還って負けじと、尋ねる。
「ど…どうして、奈都を呼び捨てに…?」
五良は姿勢を正した。
「奈都の彼氏ですので。詳しい事は、また後ほど。今は奈都が心配だ。それでは失礼。」
一礼する。そして軽やかに奈都を抱えて、体育館の扉を開け放った。
バタンッと扉が閉まった数秒後…
「嘘ォォォォォォォォ―――ッッッッッ!!!」
その場にいて、一部始終を見ていた全員が、同じ言葉を叫んでいた。
……背後から叫び声が響いてくる。
「これで佰路高全員の公認になってしまったな。説明する手間が省けたけど、奈都ごめんな。当分噂で、大変な事になるかもな。」
「大丈夫です。人の噂も75日だし。それよりも、倒れた時に助けに来てくれて、ありがとう…。嬉しかった。いつも…助けてもらって…ば…かり」
熱が上がったのか、奈都はそのまま、スウッと眠りに落ちて行く…
愛しい少女を、胸に抱きながら五良は囁く
「違うんだ…。僕が、奈都に救われたんだ。ありがとう…。」
清々しい解放感を、身に感じながら五良は、一歩踏み出した。