冷たい情愛9 過去-6
「君ならなれるさ」
佐々木の言葉に、私は驚いた。
「努力するんだ、君が卒業するまで…私も教師でいる…
私が持つ知識などたいした物ではないが…してやれることは何でもしてやる…」
その日から、私と神崎は、生徒と教師としてではなく…
先を行く人と、追う人になった。
今、30になって分かる事だが…20代前半の男で、これだけ落ち着いた知識の深い人も珍しい。
当時の私でさえ、彼が優秀であることが分かった。
私たちが休日も共に過ごすようになって間もなく…
私と神崎は男女の関係を持った。
始めてだった私…拒みはしたが…でも、本心はそれを望んだのは私なのかもしれない。
私が足元にも及ばない彼を、私は尊敬し…16歳なりに好きだった。
彼も私の体を求めた。
でもそこには…若い子で遊ぶなどという邪念はなく…
快楽さえも教え与えるといった風だった。
それは休日の彼の部屋だけではなく…
放課後の研究室でも同じだった。
神崎は、私の本質をすぐに見抜いた。
彼はそういった方面の趣味は無いと言った。
私の心と体両方の快楽のため、彼は全て私に嗜好を合わせていたらしい。
「下着はつけてこなかっただろうな…」
佐々木は、私に上下の下着を着用せずに登校するよう指示していた。
「うん…」
私は、スカート下の不安定さに、足をすり合わせた。
「なんだ設楽?落ち着かない顔して…」
「だって…パンツはいてないんだもん…」
私は真っ赤になって言った。
「で、クラスの男子どもに見られて触られでもしたから赤くなってんのか?」
神崎は冷たい口調でそう言った。
「…!先生のばかっ」
恥ずかしさと、好きな男がそんな事を嬉しそうに言うのに腹だ立ち私は口調を強くした。